じっぽ当直日誌・スーパーマイルド@はてな

『さるさる日記』から続く、中年内科医の日常日記。これまでの分はこちら。http://touchoku.jugem.jp

『クリード チャンプを継ぐ男』で、「人と人とのつながり方の変化」を考えた。

待望の当直明け。
これまでの当直のなかでも、かなりマシなほうではあったのだが、それでも翌日はかなりキツい。
午後の外来をようやく終えて、夕食を摂ってから映画館へ。
クリード チャンプを継ぐ男』を観賞。
あの『ロッキー』シリーズの続編というべきか、スピンアウトと考えるべきか微妙な作品ではあるのだが、ネットでの評価がかなり高いこともあり、観ておきたかったのだ。
それにしても、『ロッキー』の影響というのはかなり大きいよなあ。
僕などは、実際のボクシングの試合をテレビで観ていると、つい、「ああ、この試合も『ロッキー』みたいな激しい打ち合いじゃないなあ」なんて、つい思ってしまうのだから。
あんな高山 vs ドン・フライみたいな試合を毎回やっていたら、ボクサーはみんな廃人になってしまう。

この『クリード』、正直なところ、主人公にはあまり感情移入できなかったのだけれど、シルベスター・スタローンが、ロッキー・バルボアの「老い」をきちんと演じていたのがすごく印象に残った。
ストーリーとしては、『ロッキー』の第1作をなぞっていて(演出的には「新しい」のだけれど)、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』のときに感じた、シリーズ化されるような人気作品は、第1作最強!という思いを再確認。
さんざんじらしておいて、クライマックスで「あれ」が出てきたときには、涙が出そうになってしまった。
ベタなんだけど、そのベタさに、つい自分のこれまでの人生を重ね合わせてしまうところもある。
しかしこれ、『ロッキー』を知らない人が観たら、「わかる」のだろうか。

あと、この映画を観ながら、血のつながりと、人間のつながり、ということについて、ずっと考えていた。
ロッキーには実の息子がいるのだが、作中にはほとんど出てこない。
ロッキーが苦しんでいるとき、実の息子は、その相談相手の選択肢にも入ってこないのだ。
ドニーは「実の父親」であるアポロに複雑な感情を抱いており、そのドニーを育てたのはアポロの「正妻」であり、ドニーとの血のつながりはない「母親」だった。
これは、血のつながりが無い人たちが、濃密につながっている映画なのだ。
こういう「血縁よりも後天的なつながり」というのは、日本の映画では自然に描けないのではなかろうか。
描くとしても、そこには、なんらかの「特別な理由」みたいなものを挿入する必要がありそう。
こういうのが、アメリカという国の強さであり、難しさなのかもしれない。

23時半に帰宅し、シャワーを浴びて就寝。
お正月番組の録画が大量に貯まってしまったのだが、来年のお正月までに観てしまえるかな。