じっぽ当直日誌・スーパーマイルド@はてな

『さるさる日記』から続く、中年内科医の日常日記。これまでの分はこちら。http://touchoku.jugem.jp

ついに、「建前」という壁は崩れてしまったのだ。

 午前中外来、午後から病棟業務など。
 夕方まで、机の片付けなどをしながら過ごした。
 夜は同僚の先生たちと送別会。もっと早く、いろんなことを話せていればよかったのではないか、僕ももっと、コミットしていけばよかったのではないか、と後悔したのだが、思い返してみると、コミットしようとしていた時期もあったのだよなあ。でも、「それがここのやりかただから」ということで、なかなか受け入れてもらえず、僕は壁を叩くのをやめてしまった。
 あのまま叩き続けていたら、あの壁は少しくらいは崩れたのだろうか。
 飲み会がなければ、いろいろ片付けとかする時間がとれるのに……と思っていたのだが、結果的には、こうして最後にお世話になった人たちと話ができて、本当によかった。
 ちょっと飲み過ぎたので、23時過ぎに帰ってすぐに眠ってしまったけれど。


 イギリスの国民投票で、EUからの離脱が決まった。
 何日か前になってようやく、この国民投票のことを知ったのだが、「まあ、形式だけの投票で、まさかイギリスがこのタイミングでEUから離脱するなんてことはないだろう」と思っていた。
 投票直度に、離脱派の有力者が「僅差で残留になったようだ」と発言していたし。
 ところが、蓋をあけてみると、序盤は離脱派リード、とのこと。
 まあ、選挙ではよくあるように、離脱派が多いところから開票が進んでいるのだろう。
 ところが、開票がさらに進んでも、離脱派の優勢が続いていく。
 結局、そのまま開票が終了し、イギリスはEU離脱の方向に進むことが決定された。
 残留派のキャメロン首相は辞任を表明。
 日本でも、円高が一気に進み、株価が暴落。


 移民の流入によって仕事を失ったり、社会保障の行き詰まりを感じていたりする人たちにとっては、「欧州はひとつ」というEUの理想のもとに、外から来た人たちばかりが優遇されているようにみえたのかもしれない。
 そして、美しい理念に対して、そういう現実的な不満を表明しても良いのだ、と思うくらいにまで、人々は追い詰められている。
 ついに、「建前」という壁は崩れてしまったのだ。
 今日は、歴史の転換点なのではないか、そんな気がしている。


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