お昼前からy嫁の実家の法事に。
日本の昔からの慣習とはあまり縁がない家庭に生まれた僕にとっては、こうしてさまざまな行事を体験するというのは、なんだかもう一度生まれ直しているような気がする。
読経と親類が集まっての食事会、という、ごく近しい身内だけのものだけれど、この人がいたおかげで、うちの家族が存在しているのだなあ、と思うと、とても感慨深い。
そして、3人のひ孫がこうして読経の最中に「あと何分?」とかクネクネしだしたり、うちの次男が動き回ったりしている姿を見てくれているとしたら、たぶん喜んでくれているのではなかろうか。
食事会を終えて、長男の塾の個人面談へ。
最近成績があまり芳しくなくて心配で。
ひとつ歯車が噛み合えば、伸びそうなんだけどなあ。
先生も「能力はありそうですし、焦らずにやっていきましょう」とのこと。
僕が同じ年齢のときよりは、ずっと勉強しているように見えるのだが。
夕食を摂って21時過ぎに帰宅。
2人の子どもたちは、疲れ果ててすぐに寝てしまった。
家族が寝静まったあと、宝塚記念を録画観戦。
1番人気のドゥラメンテは、パドックで足を高く上げる独特の歩様をみせていたが、たしかにちょっと細くみえ、イライラしているようにも感じた。
ただ、ダービー、中山記念と、この馬の不安点を強引に見つけ出して評価を下げてしまっていた僕は、来ないのではないかと感じたときに来る馬だから、自分の見立てを信頼しないように、と自分に言い聞かせていたのだ。
パドックでは、トーホウジャッカルのデキが良いと感じたけれど、菊花賞以来連対がなく、阪神やこういう馬場は得意ではないと判断して消し。でもみんなが良い良いと言っていたので怖い(結果はハイペースで前に行ってしまったこともあり惨敗だったけど)
レースは、予想どおりのキタサンブラックの逃げだったのだが、稍重の馬場で前に行きたい馬が多かったのか、最初の1000mが59秒1と、今日の馬場を考えるとかなり速いペースに。
ドゥラメンテは後ろからの競馬になってしまったが、前に厳しい流れになったから、結果的にはよかったのかな、と思いながらみていた。
このペースで逃げていたキタサンブラックを追いかけて先行していた馬たちが4コーナーで手応えがあやしくなっていくなか、外から去年の勝ち馬・ラブリーデイが直線入口では先頭をうかがう勢いで、その外からマリアライトが捲ってきた。
先頭のキタサンブラックも、このペースではきついだろうと思いきや、なかなか脚色は鈍らない。追いかけてきたラブリーデイのほうがむしろ失速。
残り200メートルを過ぎたところで、渋太く伸びてきたマリアライトがキタサンブラックを交わして先頭に。この馬がエリザベス女王杯で勝ったのもこんな感じの時計のかかる馬場で、揉まれない外枠なら、同じような競馬ができるのでは、と注目していた一頭。
おお、来たか!と思ったのだが、ドゥラメンテとの馬連はもちろん勝っていたけれど、その他には、オッズに目がくらんで、キタサンブラックと迷った末に、アンビシャスとの馬連を選んでしまっていたのだ。
ああ、万事休すか……
そう思ったところで、ドゥラメンテのエンジンが点火し、凄い脚で追い込んできた。
だが、マリアライトには届かず、2着は……うーむ、内のキタサンブラックかな……
買うかどうか最後まで迷っていた組み合わせで外すと悔しいな……と真夜中にテレビの前で天を仰いでいたのだけれど、そこにミルコ・デムーロが下馬したドゥラメンテの映像が。
おいちょっと待ってくれ、これは僕の馬券どころの騒ぎじゃないぞ。
ドゥラメンテは父キングカメハメハで、母はアドマイヤグルーヴ。
ダイナカール、エアグルーヴ、アドマイヤグルーヴと続く、日本競馬を代表する牝系から生まれ、皐月賞・ダービーを勝った、まさに日本競馬界の至宝とも言うべき馬が、まさか……
映像をみながら、サイレンススズカの悲劇を思い出してしまった。
宝塚記念といえば、ライスシャワーか……
なんて日だ……と思いながらぼんやりと蛯名正義騎手のインタビューを見ていたのだが、写真判定の結果、2着はドゥラメンテがハナだけ差していたので、馬券的には助かった。
続報では、ドゥラメンテの怪我も命にかかわるものではなかったらしく、まさに不幸中の幸い。
とりあえず、凱旋門賞回避と今後は未定と発表された。
とはいえ、これで二度目の怪我でもあるし、種牡馬としての価値を考えると、引退も十分考えられるし、僕もそのほうが良いのではないかと思っている。
それにしても、重賞2勝がいずれもG1で、自分の型に持ち込むと強いマリアライトと蝦名騎手の騎乗は見事だった。
あのペースで、先行勢壊滅のなか、ただ一頭最後まで粘っていたキタサンブラックの強さもあらためて思い知らされた。
今日のレースに関してはキタサンブラックのほうが「怪物」かもしれない。
そして、ドゥラメンテのゴール前の末脚は、意地、だよなあやっぱり。
皐月賞の、乗っているデムーロが半ば呆れたように首をかしげながらゴール板を駆け抜けていったときの異次元の脚は見られなかったけれど、それでも、ゴール前で力の片鱗は見せてくれた。直線半ばでのあの位置から、際どいところまで追い込んできたのだから。
25時に就寝。