じっぽ当直日誌・スーパーマイルド@はてな

『さるさる日記』から続く、中年内科医の日常日記。これまでの分はこちら。http://touchoku.jugem.jp

41年ぶりの優勝パレードと『ポンペイの壁画展』

 学会で神戸へ。
 新幹線が広島に停車したときに、そういえば、今日はカープの優勝パレードの日だったな、と思い出した。もう少し早めに出てきて、パレードを見ればよかったかなあ。次は25年後かもしれないし。
 もちろん、新幹線の窓からは、優勝パレードの余韻すら感じることはできなかったのだが、車内の電光掲示板に41年前を超える31万3000人がパレードを見守った、という表示が流れていた。
 日本シリーズは残念だった、というか、まだ僕もあんな負け方を消化できてはいないのだけれど、結局のところ、だからといって結果が変わるわけでもないし、選手たちは来シーズンに向けてまたやっていくしかないのだ。
 黒田はマウンドでひざまずいて男泣き。みんなに15回胴上げされたとのこと。

 日本シリーズというのは、サッカーのPK戦のようなもので、最後は運、だとしか言いようがない。
 オシム監督は、心臓に悪いから、とPK戦を見なかったのを思い出す。
 緒方監督の選手起用がさんざん取り沙汰されたけれど、第6戦で押し出しのあとにジャクソンを続投させたこと以外は、しごく真っ当な采配だったと思う。
 だが、世の中には、真っ当だけでは結果が出ないこともある。
 1994年に、巨人と中日が最終戦の直接対決を残して同率で並んだことがあった。
 その最終戦、巨人は、槙原ー斎藤ー桑田の「三本柱による黄金リレー」で勝ったのだ。
 対する中日は、今中ー山田ー佐藤ー野中という、今中以降は「ふだんのシーズンに近い継投」をしていた。
 巨人の継投は「豪華な顔ぶれではあるけれど、慣れていないリリーフを強いる」という意味では、けっこうリスクが高かったはず。
 それでも、巨人が勝ったから、これは名采配なのだ。
 あのシリーズは、審判のジャッジ、とくにファールばっかり打つあの人に対する審判のストライクゾーンが狭すぎたことが試合を決めたと僕は思っているし、正直、まだ割り切れてはいない。たぶん、一生割り切れない。日本シリーズが終わって以来、野球に関する情報を極力遮断していたし、もうしばらく、そうしようと思う。
 それでも、今年カープがリーグ制覇を成し遂げたことは事実だし、今年、すべてを達成できなかったことは、来年以降への課題であり、楽しみが残されたとも言える。いや、そういうことにしておけ。


 学会会場で受付をして、少し発表を聞いて、金曜・土曜は20時まであいているという兵庫県立美術館へ『ポンペイの壁画展』を観に行った。来年は福岡でも開催されるらしいのだが、往復の新幹線代と学会の参加費、ホテル代などでかなりの出費になっているので、仕事だけで帰るのももったいないので。
 県立美術館に行ってみると、予想以上に閑散としていて、正直驚いた。
 遅くまでやっているということが周知されていないのかもしれないが、それにしても、展示室に入るたびに、見張っている人となんとなく気まずい雰囲気になるというのは、そんなにめったにあるものじゃない。
 ああ、こういう壁画を、2000年前のポンペイの人たちが描いて、観ていたのだなあ、というのはなかなか感慨深いものではあるのだが、鳥獣戯画展みたいに「あれを観てきた!」って言えるような「目玉」がないと、展覧会というのはつらいのかもしれないなあ。
 金・土の夜は、展示物の一部の写真撮影も許可されていて、がんばって集客しようとしていたのだが、なかなか難しいところもありそう。
 結局のところ、作品の良し悪しよりも「これ、知ってる!」かどうかが大事、というのもあるし、ポンペイの壁画というのは歴史的な遺物としては大変貴重なのだけれど、芸術としての価値については、ちょっと微妙な気もする。
 でも、このくらい空いていれば、お得な感じはする。
 ゆっくりもの思いにふけることもできるし。


 夕食を摂ってホテルに戻り、明日に備えて24時に就寝。
 

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