じっぽ当直日誌・スーパーマイルド@はてな

『さるさる日記』から続く、中年内科医の日常日記。これまでの分はこちら。http://touchoku.jugem.jp

「日本人にしかできないホスピタリティというのは存在するのか?」という村上龍さんの「問い」について

www.sponichi.co.jp


12月1日ということで、毎年恒例の『新語・流行語大賞』の2016年版が発表された。
年間大賞は「神ってる」が受賞!
見たか、カープ発の「神ってる」が日本一だ!
……でも、ここで勝つより、日本シリーズで勝ちたかったよね……
などと、しばし悔しさを思い出してしまう。
まあ、それはさておき、今年は「カープの年」だったということで。


「ゲス不倫」の『週刊文春』の記者が、「顔を知られると尾行できなくなるので」とマスクをかぶって登場してきたのだが、それでもこういう場に出てくる、というのも不思議ではあった。
雑誌にとっては、宣伝にもなるから、ということなのか。
いっそのこと、ベッキーさんはここで本格的に復帰をアピール……はできないよねさすがに。
なんのかんの言いつつ、2016年は「本格復帰」というわけにはいかなかったものなあ。
いまさらそれを望んでいる人というのも、本人と事務所の関係者くらいかもしれないし……
代わりは、いくらでもいる世界というのはつらい。
とはいえ、代わりがいない世界なんて、たぶん、いまの日本にはほとんど存在しない。


カンブリア宮殿』で、星野リゾートが採りあげられていた。
6年前に特集されたときも、観た記憶があるんだよなあ。
あれから6年経ち、日本のあちこちで「星野チルドレン」みたいな「おもてなし」を見るようになって、それはそれでちょっとマンネリ化しているようにも感じるのだ。
どんなサービスも、みんなが真似するようになると、驚きは薄まってしまう。

僕個人としては、サプライズイベントとか特別なサービスよりも、おいしい食事と生活で景色の良い部屋、そして、極力放っておいてほしいのだが、星野リゾート系って、「サービスでアピールしたい人」が多くて、ちょっと疲れることもある。
番組のなかで、村上龍さんが「日本人にしかできないホスピタリティというのは存在するのか?」と問いかけていて、それに対して、星野さんも「とりあえず相手に応じて考えていくしかないのではないか」というような返事をされていた。


「日本では電車に財布を置き忘れても戻ってくるのです! お・も・て・な・し!」
あらためて考えてみれば、それは「おもてなし」ではなくて、治安の良さ、なんだよなあ。
そして、「個々のホテルや宿での接客」よりも、「安全に夜外出できる国」であることのほうが、よほど大事な「ホスピタリティ」であり、それが日本の現時点での強みなのではないか、と思う。
旅館のスタッフの「サプライズサービス」にいちいち期待しているのは、日本人だけなのではないか。
今年の夏、海外を2ヶ月ほど旅行してみて、外国の人、とくに欧米人は『個人主義者』のように思ってしまいがちだけれど、困っている人に声をかけ、手を差し伸べることや飛行機のなかで他の人の荷物も率先して下ろすというようなことを、あまりにも自然に「やるべきこと」としてやっている、というのを感じた。
海外の旅館やホテルでは素っ気ない対応が多かったけれど、一般人の公共の場での「ホスピタリティ」は、むしろ、日本よりも優れていると思うことが多々あったのだ。
日本の「おもてなし」は、そのサービス担当者の自己アピールになりすぎてはいないだろうか。
もちろん、そういうのが「ハレの日」には必要だ、というのはわかるのだけれど。

25時に就寝。

星野リゾートの教科書

星野リゾートの教科書

星野リゾートの教科書

星野リゾートの教科書