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じっぽ当直日誌・スーパーマイルド@はてな

『さるさる日記』から続く、中年内科医の日常日記。これまでの分はこちら。http://touchoku.jugem.jp

『文庫X』の正体とオバマ大統領の8年間

 さすがに1月中旬ともなると寒い。
 この冬はそんなに寒くない、と思っていたのだが、まだそんなに冷える時期じゃなかっただけなのか。

 仕事が早めに終わったので、紀伊國屋に寄り、書店内をしばらくブラブラしていた。
 こういうのが僕にとっての充電なんだよな、と思う。
 なかなかめぼしいものが見つからなかったから、滞在時間が伸びてしまった、というのもあるのだけれど。
 表紙を隠して手書きの推薦文をカバーにした『文庫X』の中身が、清水潔さんの『殺人犯はそこにいる』だったことを初めて知った。そのことは昨年末には発表されていたらしい、紀伊國屋で売られていた本のカバーでは「中身は『殺人犯はそこにいる』です」と明示されていたのだが。
 「500ページくらいある厚いノンフィクションなので、なかなか手に取ってもらいづらいと思うけれど、ぜひ読んでみてほしい」という思いから、こういう売り方を試みてみたとのこと。
 もともとノンフィクション好きで、『殺人犯はそこにいる』も既読だった僕は「こういう本って、そんなに読んでもらえないのか……」と驚いてしまう。
 でも、タイトルがわからないと興味を持たれて売れる、っていうのも、なんだか不思議な話ではあるよね。すごく面白い+考えさせられる本で、内容が伴っていたからこそ売れたのだろうけど。
 いや、僕もつい、文庫でもう一回読んでみようかと思ってしまったんだけどさ。

 オバマ大統領が、シカゴで最後の公式の演説を行った。
 これまでの8年間の総括的な話と、トランプ大統領へのスムースな権限移行を訴えたとのこと。
 この8年間のオバマ政権、期待が大きすぎたためか、言うほど「Change」してないじゃないか、という気もするけれど、いちおうの国民皆保険の導入や景気・雇用の回復、キューバ、イランとの関係改善など、総じていえば、かなりの成果を挙げたのではないか。
 大きな戦争に突入することもなく、大統領や関係者のひどい汚職やスキャンダルなどの問題もなかったし。
 オバマ大統領の8年間というのは、『銀河英雄伝説』風にいえば、「後世の歴史家」たちからは、好意的に評価されるのではないか。
 これは、広島を訪問してくれたオバマ大統領への僕の贔屓目、というのもあるのかもしれないけれど。
 しかし、政治的にもうまくバランスをとって最低限の「やるべきこと」を実現し、経済状況も良好で、対外的にもやや弱腰なところはありつつも、大きな破綻をきたさなかったにもかかわらず、民主党オバマさんの次に(いちおう)共和党のトランプ大統領が選ばれたというのは、考えてみれば不思議な話だよなあ。
 先日読んだ本には、「本当にみんなの生活が厳しくなれば、『大きな政府』を志向する民主党支持が高まるはず。それなりに豊かで、にもかかわらず、社会に劇的な変化がないことにもどかしさを感じている人々が増えたことが、トランプ大統領を生んだのではないか」と書かれていた。
 安定は人間を不安に、不満にするのかもしれない。それが「心地よいぬるま湯」だったと気づくのは、風呂の温度が変わってしまってからなのだ。

 24時に就寝。


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