じっぽ当直日誌・スーパーマイルド@はてな

『さるさる日記』から続く、中年内科医の日常日記。これまでの分はこちら。http://touchoku.jugem.jp

「トリプルアクセルに声をかけるとしたら?」とか聞く人の、情けない「質問力」

 浅田真央さんの引退会見の一部を夜のニュースで観て、残りはネットの記事で確認した。
 21年間やってきた、「金メダルを目指すスケート」から引退するというのは、本人にとっても寂しくはあるのだろうけれど、実際の決断から少し時間が経っているということもあって、清々しい会見だった。最後は涙ぐむシーンもあったけれど。
 この記者会見の中身をネットで確認してみると、誰かに何かを質問するというのは、本当に難しいな、と思う。
 学会でも、「良い答え」を引き出すのは、「良い質問の力」だよなあ、と痛感するのだ。
 答えがあらかじめ予測できるような質問はつまらない。
 でも、質問する側の自己アピールのような質問は、もっと興醒めだ。
 こうして浅田真央選手が会見する機会はもう無いのかもしれないのだから、もっとマシな質問をすればいいのに、と、会見の一問一答を読みながら考えていた。
 「トリプルアクセルに声をかけるとしたら?」
 これ、競馬で大レースに買った騎手に「馬に言葉をかけるとしたら、何といってあげたいですか」
「ありがとう、ですね」
 というのが一時期流行ったのだけれど、さすがに、スケート靴くらいにしとけよ、という感じだ。いくらなんでも、無機物ですらないものにかける言葉を求められても困るだろ……
 ちゃんと困惑した浅田真央さんはさすがだった。
 これで、めんどくさいからと「ありがとう、ですね」とか言っていたら、コントじゃないか。
 しがらみがあって答えにくい質問をあえてする、というのは記者の仕事だと思うけれど、意味不明な答えられない質問をするのは、時間のムダでしかない。
 プロインタビュアーの吉田豪さんは、「あなたにとっての○○とは何ですか」という質問は、あまりにも安易かつ相手任せで、インタビュアーの手抜きだと思うから、自分は絶対にしない、というようなことを仰っていた。


 最後に「気持ちよく送り出すような質問を」という司会者の提案に、「ご結婚は?」「台湾人との結婚はどうですか?」というような質問をした記者たちは、しょうもないなあ、と思う。
 だいたい、男性アスリートだったらそんなこと聞かないだろうし、もしそういう予定があったとしても、ここはそういう会見じゃないんだから、言うわけないだろうに。
 ただ、そこで友達の福原愛さんの話をしながら、ムッとすることもなく、にこやかに受け流す浅田真央さんは立派だった。
 これから新しいことをやっていく上でも、なるべく敵は作らないほうが良いよねそれは。大人だよなあ。
 本人がいちばん印象に残っているのは、ソチのフリーの演技、ということだった。
 僕もあれは、たぶんずっと忘れないだろうと思う。
 なにはともあれ、こうしてちゃんと会見までした浅田さんは偉い、というのと、こんなことしか聞けないから、みんな記者会見よりブログで自分が言いたいことを発するようになったのではないか、というのと。


 カープは昨日に続き、東京ドームでの巨人戦。
 新井、エルドレッドの2打席連続のアベックホームランなどで、カープが今日も打撃戦を制した。新人・床田は失点もしたけれど、四者連続三振などの見せ場もあり、プロ入り初勝利。
 プリンス・堂林がいいところで追加点となるタイムリーを放ったのでよかった。

 24時に就寝。


広島アスリートマガジン2017年4月号

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