じっぽ当直日誌・スーパーマイルド@はてな

『さるさる日記』から続く、中年内科医の日常日記。これまでの分はこちら。http://touchoku.jugem.jp

映画『3月のライオン 後編』は、スッキリしないけれど、だからこそ良い作品なのだと思う。

 夕方まで雨。その後は曇天。
 夜、映画『3月のライオン 後編』を観に行った。上映館がちょうどレディースデーということもあって、けっこうな賑わい。
 ネットでは「前編は大コケした」と書かれていたのだが、前編を観ていない人が、後編だけ観るということは、まずありえないだろうし。
 結論から言うと、なかなか楽しめる映画だったと思う。
 ただ、観ていて気になったのは、いろんなことが中途半端というか、なんだかスッキリしないまま終わってしまったことだ。
 とくに、ひなたの学校での出来事については、あれで「解決」なのか(いや、本人も「終わったみたい」としか言ってないけど)、それでいいのか?とものすごくモヤモヤしてしまった。でも、ああいう終わり方が、たぶん、いちばんマシで、リアルなんだろうな、うーむ。
 幸田家の問題も、川本家の問題も、なんというか、「平和そうに見える家庭でも、一歩足を踏み入れてみれば、こんなもの」というレベルの崩れかたで、かえって観ていてつらいところがあった。
 「一歩でも前に進むことの尊さ」みたいなのが、この作品の大事なところで、現実には、すべてが丸く収まるようなハッピーエンドなんて、そうそうやってこないのだよね(まあ、これもフィクションなんだけど)。
 エンドロールの『春の歌』を聞きながら、たしかにこれは、そっとやってきた春のような映画だな、と思った。
 どこかで聴いたことがある歌だったけど、そうか、スピッツの曲だった。
 個人的には、宗谷名人をもうちょっと掘り下げてほしかったのだけれど、上映時間的に厳しかったのかな。
 あと、豊川悦司さん、伊藤英明さん、佐々木蔵之介さんといった、棋士を演じた俳優さんたちが素晴らしかった。前編では、「海猿棋士?」と内心毒づいていた伊藤英明さんの後藤さんが、後編ではすごくよかった。あと、伊勢谷友介さんがあんな役とは!
 ……ただ、あの伊勢谷さんの役って、あまり自分に自身がない父親である僕としては、なんだか身につまされるところもあって、桐山くん、そんなに追い詰めなくても、とも思っていた。
 原作はまだ完結していないみたいだし(というか、この映画版も完結しているとは言いがたい)、最初から原作を読んでみようと思う。
 24時に就寝。
 

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