じっぽ当直日誌・スーパーマイルド@はてな

『さるさる日記』から続く、中年内科医の日常日記。これまでの分はこちら。http://touchoku.jugem.jp

「こんなところで上がっていったレイデオロ!」東京優駿を制す。

 5月最後の日曜日。
 職場が変わるということで、月末まで休みをもらっており、長男次男と3人で久々に遊びに出かけた。
 屋内遊園地に行く予定だったのだけれど、その途中にあたホビーショップに長男が目を留め、ちょっと寄ってみるつもりが、そのまま、ミニ四駆をつくってコースで走らせることになってしまった。僕はあまり器用なほうではないし、これまでミニ四駆をつくったこともないのだが(「スーパーカー消しゴム」「キン消し」「ファミコン」の世代だしね)、まあ、子どもが作るものだから、ちょちょっと10分くらいで作られるのだとうと思いきや、1000円もしない価格のわりには、かなりしっかりとしたつくりになっていて驚いた。その場で工具セットなども購入し、退屈きわまりなくてイタズラをしはじめる次男をときどきあやしつつ、長男とひさしぶりに一緒に「工作」をした。あれ、なんだかこれ、けっこう嬉しいぞ。
 最初のほうのシール貼りとかネジ止めに手間取り「もう今日はここまでにして、他のところに行こうよ〜」と言う長男をなだめつつ、ここで途中でやめたら、もうこの先は作らないであろうという確信のもとに借りていたコースの時間を延長してまで、工作を続け、なんとか完成!けっこう嬉しい。説明書では最初のほうは遅々として進まないのだが、後半になると、加速がついたようにどんどん出来上がっていくのも楽しい。
 よくやく出来上がったマイミニ四駆をコースで走らせる。
 もちろん、カスタマイズされたもののように猛スピードで走るわけではないけれど、けっこうなスピードでコースでバウンドしたり、坂を駆け下りていく姿をみて、それまで「退屈の極み!」というムードを醸し出していた次男の態度が豹変。僕がいちど、「ここのスイッチを入れるんだよ」と見せただけで、すぐに要領をつかんで自分で動かすようになり、僕がつくったミニ四駆をコースで走らせては、満面の笑顔で飛び跳ねて、「もういっかい!もういっかい!」と飽きることなく遊び続けていた。
 最初は作るのに手間取ってブツブツ言っていた長男も、完成したミニ四駆を走らせてみると、「ほら、パパのより速い!」と上機嫌。僕が途中でなんどか、わかりづらいところをアドバイスしただけで、ほとんど自力で完成させたのには正直驚くのと同時に、だいぶ頼もしくなったものだと感心した。
 ああ、息子たちは、間違いなく成長している。そして、子どもたちと何かを作るというのは、本当に楽しい。さらに、それで子どもたちも楽しんでいるのが伝わってくるのは至福の時間だ。
 
 その後、予定通りに屋内遊園地で遊んだり、ゲームコーナーでクレーンゲームに奮闘したりして(長男はクレーンゲームがやたらと上手い。誰に似たのだか……)、夜まで遊んで帰宅。
 身体は疲れたけれど、実に心地よい疲れだった。

 家で『おんな城主 直虎』第21回「ぬしの名は」。
 タイトル的には『君の名は。』のパロディなのだろうけれど、まあ、なんというか、こんなこと実際にはありえないだろう回だ。直虎はリアル路線じゃないのは百も承知だけれど、いつ、直虎がマルクス主義に目覚めるのかと思いながらみていた。もしこのとき、直虎が社会構造の矛盾を徹底的に改革しようとしていたならば、カール・マルクスは「直虎主義者」になったかもしれない。
 しかし、こんなどうでも良い回にどうでも良いことを発言するために出演しなければならない高橋一生さんは、ものすごい人気なのだな、とは思う。

 みんなが寝静まったあと、第84回日本ダービーを観戦。
 ネットでは、あまりのスローペースに(勝ちタイムは2分26秒台で、2400mなのに、上がり3Fが33秒台の馬がたくさんいるのだ)、かなり評判が悪いようなのだが、僕の本命スワーヴリチャードは、まずまずのスタートから内枠をうまく活かして中団前目の好位置を確保し、なかなか良い感じでレースをすすめていた。ところが、前半1000mを超スローで過ぎたあたりのところで、ルメール騎手のレイデオロがこれはもう辛抱たまらん、という感じで、外から捲って前にとりつき、連れてペルシアンナイトも先団へ。
 ああ、このペースで折り合いがつかなくなって、行ってしまったんだな、と、そのときは思ったのだ。
 あとで観たNHKの中継でも(最初は関西テレビの『競馬BEAT』で観ていたので)、実況アナウンサーは「こんなところで上がっていったレイデオロ!」と、天を仰ぐように言っていたし。
 ところが、結果的にはこれがルメール騎手の好判断。
 レイデオロは、内ラチ沿いでしぶとく粘るマイスタイル(超スローペースでの逃げとはいえ、この馬の粘りにも正直驚いた)を残り200mで交わし、そのまま歓喜のゴールへ。
 僕の本命スワーヴリチャードは、4コーナーから直線に入るところで外の馬を弾いてしまったが、それ以外は本当にロスのない競馬で直線も最後までレイデオロに追いすがったものの、結局差を詰め切れず2着まで。
 でも、今日のスワーヴリチャードは、ケチのつけようがない、100点満点の騎乗だったと思う。馬券も当たったし。
 スワーヴリチャードは、このダービーという大舞台で、いくら超スローペースだとはいえ、最初の1000mの時点で2番手まで上がっていくという、ルメール騎手の一か八かの賭けに負けただけだ。
 スワーヴリチャード本命というのは、外れてしまったら「なんであんな馬が強いと思っていたのだろう……」と後悔しそうなものだけれど、結果的には、馬はけっこう強くて左回りの東京コース巧者で、内枠も幸いし、なんといっても、騎手が完璧に乗っての2着。当たってみれば、競馬というのはこんなにシンプルなものなのか、といつも思うのだけれども。
 アドミラブルは、最後すごい脚で追い込んできて、なんとか3着確保。
 三連系の馬券を買っていて、この3着で助かった人は多かったはず(マイスタイルを買っていた人たちは、残念至極だっただろうけど)。
 なんだか先週のアドマイヤミヤビのような競馬だったな。同じ8枠で、騎手も同じデムーロだったし。
 アドミラブル、上がり33秒3だからなあ。逃げたマイスタイルでさえ、34秒1。
 これでは、直線で後ろからの馬はどうしようもなく、それでも3着にまで押し上げたアドミラブルはたいしたものだ。
 アルアイン、最後けっこう良い脚で追い込んできたので、ちょっと惜しかった。もっと前々で勝負できていれば、というところではあるけれど、やはり距離に不安が少しあったのと、スワーヴリチャートに弾かれたのが、最後少し脚を余したようにみえる競馬につながったのかもしれない。
 この馬、皐月賞を買ったときに、なんだかロゴタイプっぽいな、と思ったんだよなあ。
 ダービーの結果も、ロゴタイプっぽかった。
 それにしても、ルメール騎手、これで3週連続のG1制覇か。凄いな本当に。
 人気馬や大レースでは勝てない、なんてイメージもあったけれど、これで完全に払拭できたのではなかろうか。
 そして、藤澤和雄厩舎も、ついに悲願の(という悲壮感は藤澤先生からは感じないのだけれど)ダービー制覇。この稀代の名伯楽も、定年まであと5年の65歳になっていた。
 先週のソウルスターリングといい、今週のレイデオロといい、物事というのは、うまくいくときには、いくものなのだな。今年のダービーはペースや枠順次第で、多くの馬に可能性があったとは思うのだが、その中で、藤澤厩舎の馬だった、というのは、やはり「天運」みたいなものがあるのだろう。
 レイデオロ、録画でみたパドックや返し馬は、あまり良く見えなかったんだけどなあ。
 アドミラブルもスタート前に首をブンブンしていて、「馬券締切後にこれかよ」って言いたくなったし。
 スワーヴリチャードのマイナス12kgも、渾身の仕上げなのか細くなって本調子ではないのか、僕にはよくわからなかった。
 結果的に馬連4−12をそれなりに厚く買えていたのは、子どもたちと遊ぶために、直前のパドックや返し馬を確認せずに買ったのが幸いした、ともいえる。

 ちなみに、カープも延長で巨人に3−2で勝っており、僕にとっては、子どもたちと楽しく遊べて、ダービーを的中し、カープも勝つという、文句のつけようのない一日だった。
 こういう日は、年に1回、あるかないか、だよな。

 新しい職場に行く前で、ネガティブになりそうな時期でもあったので、なんだかすごくありがたい。
 それにしても、ダービーであのレースをやるルメール騎手は、本当にすごいな。
 
 祝杯をあげ、25時に就寝。


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