じっぽ当直日誌・スーパーマイルド@はてな

『さるさる日記』から続く、中年内科医の日常日記。これまでの分はこちら。http://touchoku.jugem.jp

『ドキュメント72時間』で紹介されていた、海が見える老人ホームの「入居費3500万円」という現実

 明日は『ドラゴンクエスト11』の発売日だな、と思いつつ、早番で出勤。昨日はなぜか寝付けず、遅刻する夢を何度もみた。
 急患対応などでストレスを感じたときも、「明日は『ドラクエ』の日」と、自らに「ふっかつのじゅもん」をかけて頑張った。所詮、ホイミ程度の効果でしかないけれど。
 

 ドキュメント72時間は「海が見える老人ホーム」。
 ああ、こうやってのどかに暮らしている高齢者もいるのだなあ、と思いながら観ていたのだが、「自宅を売って、3500万円の入居費をつくった」というナレーションを聞いて、フリーズしてしまった。
 この程度の「充実した老後」にも、そんな大金が必要なんだよなあ。
 僕の勤務先と提携しているケアハウスや施設も、かなり収入がないと入所するのは難しい、と看護師さんが言っていた。傍からみれば、「豪華さ」を感じるわけでもない施設なのに。
 お金がなければ自宅でみるように、ということなのかもしれないけれど(公的な施設もあるのだが、かなり順番待ちが長い)、高齢者の介護というのは、手間も時間もかかり、その負担で働けなくなり収入も減って、さらに生活が厳しくなる、という悪循環になりがちだ。
 政治をやる人たちというのは、そういう世界を身近に感じることはないのだろうか。
 60代前半くらいで、この施設に入った人の話をきいていると、今の感覚では、もう少し現役として頑張れたのではないか、とも思う。
 高齢者ばかりみているからかもしれないが、最近の60代は、まだ「老人」って感じじゃない。
 この番組に出てきた老人ホームは、かなり経済的に恵まれた人達じゃないと入れないところなんだよね。
 これからは、人口も減り、持ち家の資産価値もどんどん下がっていく時代だし。
 今夜は『ドキュメント72時間』としては、なんだか素っ気ないというか、気の無い回のようにみえるのは、スタッフも「3500万円」が引っかかっているのではないか、なんて考えてしまうのだ。入居費は、番組の主旨からすれば必要ではない情報のはず。でも、それに言及せずにはいられなかったことが、ひとつのメッセージではないかと思う。
 
 25時に就寝。

fujipon.hatenadiary.com

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