じっぽ当直日誌・スーパーマイルド@はてな

『さるさる日記』から続く、中年内科医の日常日記。これまでの分はこちら。http://touchoku.jugem.jp

新年度最初の日、自分が新人研修医だった頃のことを思い出した。

 4月2日。新年度スタート。
 数日前まで、いろんなところで「お別れムード」だったのが、今日になった途端に「新社会人歓迎ムード」にガラッと切り替わっているのは、毎年のことながら、なんだか不思議な気分になる。僕はまだ昨日のサトノダイヤモンドを引きずっているというのに!
 新年度初日らしく、外来も病棟もけっこう忙しかった。午前中だけで、疲労困憊してしまうくらいに。
 ようやく自分のデスクにもどってきてぐったりしていると、次から次へと新人さんが挨拶をしにやってくるので、なかなか落ち着かない。挨拶しに来るほうが、よっぽど緊張もしているのだろうけど。
 僕が新人研修医になった頃は、それまでの生活とのあまりのギャップに心底戸惑っていたものだ。国家試験のあとは1か月くらいずっと休みで、家でスーパーファミコンの『ダービースタリオン』ばっかりやっていた男が、いきなり朝7時から採血をして、夜遅くまでカンファレンスの準備をやり、「こんな指示受けられません!」って、看護師さんに指示簿を投げつけられる生活になってしまったのだから。いつでもポケベルで呼び出されるというのもつらかった。あの頃は、1日1キロずつ体重が減っていって、周囲からもだいぶ心配されたものだった。僕は本当に「許容範囲の最低限ギリギリの仕事でなんとか許してもらっていた研修医」で、申し訳なかったよなあ。
 個人的に、これから仕事をはじめる人に何かアドバイスすることがあるとすれば、まずは生き延びることと、わからないことは、自分で判断せずにちゃんと上司に聞くことだ。恥ずかしい、と思うかもしれないけれど、上司も通って来た道なので、「わからないのが当たり前」だということは、みんなわかっているから。「わかっているふりをしてやってしまうミス」ほど怖いものはない。

 大谷翔平投手がメジャーリーグ初先発で、6回で被安打3、3ランで失った3点のみのクオリティスタートで、見事に初勝利。オープン戦では結果が出ておらず、ちょっと時間がかかるのかな、と思っていたのだけれど、すごい人というのは、こういうものなのか。「楽しんで投げました」って、ほんと、世の中にはこういう人もいるから参る。新社会人で勇気づけられた人も多いだろうけれど、コンプレックスを感じた人も少なからずいるのではなかろうか。もちろんそれは、大谷選手が悪いわけではないのだけれど。


入社1年目の教科書

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