じっぽ当直日誌・スーパーマイルド@はてな

『さるさる日記』から続く、中年内科医の日常日記。これまでの分はこちら。http://touchoku.jugem.jp

TOKIOの山口達也さんの謝罪会見と「アルコールの問題」

 TOKIO山口達也さんが謝罪会見。
 その前に、国分太一さんが朝のワイドショーで涙ながらに謝罪をしていたのだよなあ。
 なんというか、国分さんのせいではないだろう、とも思うのだが、ずっと一緒のグループで苦楽をともにしてきたのだから他人事ではない、と感じるのもわかる。
 山口さんは、「アルコールの問題」を抱えていて、通院もしていたそうだ。
 それも、離婚がきっかけだったとか。
 アルコール依存の治療をしているコラムニスト小田嶋隆さんの『上を向いてアルコール』によると、「離婚や仕事の失敗でアルコール依存になった、というのは大概順序が違っていて、最初にアルコールによる問題があって、離婚や失業の原因になっている」そうなのだが。
 アルコール依存で通院している、というだけなら、大変だろうけどなんとか治療して、社会に適応していってほしい、という話なのだが、今回は被害者がいるので、「かわいそう」で済む問題ではない。
 お酒を飲むと、人恋しくなってやたらと電話をかけたり、性的なタガが外れたりする人というのは少なくないし、常習飲酒者であればなおさら、酔っ払ったときの自分の性癖とかやりがちな失敗について知っているはずだ。
 僕もお酒は好きじゃないがそれなりに飲むし、自分が酔っ払うと人恋しくなるタイプだということは認識している。昔はそれで失敗もしたが、最近はそんなこともなくなった。一番の理由は、年とともに量も飲めなくなったし、ひどく酔っ払うほど飲まなくなったことだ。翌日の仕事がきつくなるし、頭も痛くなるからなあ。


 お酒の上での失敗、というのは、山口さんの場合には言い訳にならない。
 生まれてはじめて飲んだ、とか、無理矢理飲まされた、というわけではなく、酒を飲むと記憶がなくなるような経験や問題行動を何度もしてきた結果、酒の問題で病院に行っていたのだろうから。
 こういうときに「酔っ払っていたから」と情状酌量したり、「あの人もつらいことがたくさんあったから」と擁護してしまう文化が、アルコール依存者を生み出したり、治療を積極的に受ける人を減らしているのだと思う。
 まずちゃんと治療してくれ。もっとも、治療しても社会に再適応できる人のほうが少ないくらいの難病なんだよなあ。
 許す、許さない以前に、こんな事件を起こしてしまっては、これまでと同じ芸能活動をしていくことは難しいよね。
 アルコール依存は恥ずかしいとか、治療を受けていることを知られたくない、という気持ちが、この病気に悩んでいる人や家族を増やしているのも事実なのだ。


 でもなあ、ちょうど同世代の男としては、「飲みたくなる気分」みたいなものは、ちょっとわかる。自分の入り口はもうここにはなくて、この先には、つまらない出口とろくでもない出口と無数の落とし穴しかないような人生だ。飲んでも、問題が解決するわけではないのだが、少なくとも大概の問題は、先送りにすると、手遅れになってどうでもよくなる。
 ……やれやれ、僕も危ないな。父親の酔っ払って子どもにからんでくる姿が嫌いだったから、アルコールに依存しないで生きているような気がする。大事なことを教わり、感謝すべきかもしれない。


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