じっぽ当直日誌・スーパーマイルド@はてな

『さるさる日記』から続く、中年内科医の日常日記。これまでの分はこちら。http://touchoku.jugem.jp

それでも、アーモンドアイは強かった。

 涼しくて過ごしやすい日曜日だった。
 テイエムオペラオーの訃報を聞き、しばし瞑目。
 2000年の年間8戦全勝は本当に凄かった。
 古馬の中長距離G1は、ずっと、1着テイエムオペラオー、2着メイショウドトウだったものなあ。
 とくにこの年の有馬記念では、周囲の騎手たちから徹底的にマークされて、直線で包まれてしまったのもかかわらず、馬群を割って出てきて勝ったレースは印象的だった。
 この日の朝、オペラオーは壁に顔を強打して腫れていて、片目がほとんど塞がっていたのだ。
 ずっと騎乗していた和田騎手は、このレースのあと涙を流していた。
 いまから考えると、この年で引退していれば、もっと印象が良くなって、種牡馬としてももう少し成功できたのではなかろうか。社台スタリオンに入らず、オーナー個人所有の種牡馬になったのが、最大の分岐点ではあっただろうけど。
 翌年は、ずっと2着ばかりで、引退レースも2着までには……と思っていたら、5着に敗れて、引退。
 ただ、この1年の現役生活がなかったら、キタサンブラックに抜かれるまで、長い間賞金王として名前を残すこともなかったかもしれない。


 今日のG1はオークス
 桜花賞の上位3頭とフローラS勝ちのサトノワルキューレの4頭の競馬だろう、そして、アーモンドアイは3歳牝馬どうしの2400mなら距離には問題ないはず、と思ってはいたのだ。最近のオークスは長距離血統よりも「強くて折り合いのつく馬」が来るし、アーモンドアイのお父さんは短距離で活躍したロードカナロアでも、お母さんは中距離から長めでも活躍したフサイチパンドラだし。
 そう確信していても、パドックから返し馬ではこの馬の発汗が目立つので、やっぱり距離適性が不安になってきた。スタート後、中団でラッキーライラックのすぐ後ろにつけたときには、「行っちゃった……」とも思ったのだ。
 それでも、アーモンドアイは強かった。直線では抜け出したリリーノーブルに並べかけて突き放し、上がりも最速の圧勝劇。
 後ろからで届くかなあ……と不安視していたのだけれど、前に行ったら行ったで不安になってしまう。
 結果的には、中団のポジションからでも、あれだけの末脚が使えるのか。そりゃ強いわ。
 パドックで入れ込みが目立っていたのに、レースではヴィルシーナ以下をぶっちぎって勝ったジェンティルドンナを思い出した。
 2着にリリーノーブルで、3着にラッキーライラック。今回はリリーノーブルがラッキーライラックを逆転する目もあるのではないかと思っていたので、馬券的にも配当が良いほうにおさまってくれた。
 結局、最後にサトノワルキューレ絡みの馬券を買い足してしまったので、まあ少しはプラスになってよかったね、というくらいだけれど、とりあえず当たると日曜日の夜をちょっといい気分で過ごせるのでありがたい。今日はカープも九里の素晴らしいピッチングで勝ったし。
 ただ、来週のダービーは今週とは違って、本当にわからない。
 皐月賞は馬場が悪くてダービーとは状況が違いすぎるし、有力馬のダノンプレミアムは皐月賞回避明けで万全とはいえないだろう。ブラストワンピースは皐月賞組との力関係がわからない。馬券的には面白い、と言えなくもないが……
 ルメール騎手は今日が誕生日だったそうで、G1制覇も重なって本当に嬉しそうだった。
 ルメール騎手が「自信あります!」と言うたびに、G1で人気馬を馬券外に飛ばしてきたので、今回も悪い予感がしていたのだけれど、本当に強い馬は、やっぱり強いということか。ただ、ずっと後ろから行っていた馬を今回は前目のポジションで折り合わせて勝ったというのはすごいことで、もしこれで最後伸びなかったら大バッシングだったはず。そして、いくらアーモンドアイでも、今の府中でペースも上がらなければ、末脚だけで前を差し切れるかどうかはわからない。
 強い馬が「楽勝」するっていうのは、見た目ほど簡単ではないのだ、たぶん。