梅雨の晴れ間の一日。
一年のうちには何をやってもうまくいかない日とか時期があるものなのだが、今日はまさにそんな日だった。思い出したくもないくらいで、家に帰ってからもずっと鬱々としていた。
カープも中村祐太が打たれて日本ハムに大量リードを許している。
昨日のリリーフ陣の頑張りと野間のサヨナラヒットで、流れが変わると思ったのだがなあ。なかなかうまくいかないものだ。今日の結果まで含めて、交流戦は3勝5敗なのだが、ヤクルト以外の他のセリーグのチームもなかなか勝てない状況で、カープもこの8試合、全部負けていてもおかしくないような試合内容にもかかわらず、マイナス2にとどめているのは、むしろ奇跡的ですらある。ドラマチックな勝ちもいいけれど、普通に勝つ試合がもっとあってもいいんだよ、本当にさ。
8回から、永川勝浩投手が2年ぶりに1軍のマウンドへ。
正直、実際にその名前を場内アナウンスで聴くまでは、「1軍に上がっているんだから、どこかで敗戦処理的に投げるのだろうな、いまのリリーフ陣も厳しいよなあ」というくらいにしか永川さんのことを意識していなかったのだけれど、実際にマウンドで投げている永川さんをみていたら、けっこう、こみあげて来るものがあった。
ネットでも「久々の永川劇場!」「得意の四者凡退!(だいたい一人はランナーが出る)」などと、劣勢の試合展開はさておき、カープファンは大盛り上がり。
僕は、永川さんは去年で引退するか、戦力外になるんじゃないか、と思っていた。「松坂世代」でもう37歳だし、長年、クローザーとして君臨してきたピッチャーも、いまのリリーフ陣では中崎、ジャクソン、今村、一岡より序列が上になることはまずあるまい。今年はアドゥワ誠という新戦力も躍動している。かつてのクローザーが、敗戦処理というポジションでも、モチベーションを保てるのだろうか?
そもそも、昨日は1点負けている状況で9回を投げた藤井投手に勝ち星がついたのだが、僕は、あの場面で永川さんが投げるのではないかと思っていたのだ。
昨日に比べたら、はるかに緊迫感には乏しい場面だったけれど、永川さんは8回、9回を0点にキッチリ抑えてくれた。球速は140キロ台半ばまで出ていたが、変化球の曲がり、とくにフォークボールは全盛期ほど目立たない感じ。
カープは負けてしまったのだが、永川さんがこの2年間やってきたこと、考えていたことに比べれば、今日の僕のスランプなど、たいしたことではないよな、と思えてきた。「松坂世代」のひとりであり、クローザーとしてチームの顔だった男は、2年ぶりに、帰ってきたのだ。そして、とりあえず今日は、負け試合の最後のイニングを0点で埋めてみせた。
カッコよかったよ、永川さん。他人からどう見えようと、陽のあたりにくい場所だろうと、いま、自分がやるべきことをやる。ただ、それだけで良いのだよね。
- 作者: 坂上俊次(RCC中国放送アナウンサー)
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