映画『空飛ぶタイヤ』を雨のなか観に行った。
こうして平日の休みを定期的にとれるようになって痛感するのは、今の世の中のライフスタイルというのは人それぞれで、平日の昼間でも映画を観たり買い物をしたりしている若者や中年が大勢いる、ということだ。
正直、平日の朝からの映画は、リタイアした高齢者ばかりではないか、と思っていたのだが、全然そんなこともなく、レイトショーよりもかえって賑わっているくらい。
考えてみれば、土日がかきいれどきの仕事なんて、たくさんあるわけで。
『空飛ぶタイヤ』は、文庫本で800ページをこえる原作をどうやって2時間の映画にするのか、前後編くらいにしないと無理じゃないか、と思っていたのだが、かなりよくまとまっていた。ただし、僕が最近原作を読んだばかりだったので、端折っているところは脳内で補填しやすかった、というのも大きい。原作未読、あるいは、ずっと前に原作を読んだきり、の人にも伝わるかどうかはわからない。
長瀬智也さん演じる赤松社長とディーン・フジオカさん演じるホープ自動車の沢田については、けっこうしっかりと描かれていたが、高橋一生さんのホープ銀行の井崎はあまり存在感なし。2時間、という制約では、赤松社長の家庭や学校のことや銀行関連のやりとり、隠蔽の手掛かりを得るまでのプロセスなどを描くことは難しかったのはよくわかるし、赤松社長 vs 沢田課長、という構図にしたほうが、映画としても見やすいのは事実だと思う。
この映画の監督って、『超高速!参勤交代』を撮った人だそうで、物事をテンポ良く切り取るのが上手い人なのだろうな。
豪雨のなか、車検証をとりにいったり、散髪をしたり、郵便局に行ったりして過ごした。平日に一日休めると、いろんなことがやりやすくなるのはまちがいない。
そういえば、1年前の7月5日は、九州北部豪雨の日だったのだよなあ。
ラジオを聴いていたら、まだ仮設(扱いを含む)住宅にいる人が、1000人あまりもいるそうだ。みんなギリギリのところで生活しているのだから、あるはずのものがなくなってしまうと、元のところまで戻るのは本当に難しい。
『空飛ぶタイヤ』の赤松社長も、感動的な逆転劇だったけれど、あれだけがんばっても、自分たちが悪くなくても、事故が起こる前の状況まで戻ることさえできないのだ。そして、誰の責任であっても、犠牲になった人の命は戻ってこない。
- 作者: 池井戸潤
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2017/03/07
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログを見る
- メディア: Amazonビデオ
- この商品を含むブログを見る
シネマスクエア vol.101 [長瀬智也×ディーン・フジオカ×高橋一生『空飛ぶタイヤ』] (HINODE MOOK 513)
- 作者: 日之出出版
- 出版社/メーカー: マガジンハウス/日之出出版
- 発売日: 2018/05/01
- メディア: ムック
- この商品を含むブログを見る