じっぽ当直日誌・スーパーマイルド@はてな

『さるさる日記』から続く、中年内科医の日常日記。これまでの分はこちら。http://touchoku.jugem.jp

世の中に出てきた頃のオウム真理教は、僕たちにとって、怪しいけれど面白い存在だったのだ。

 朝から激しい雨が降り続き、スマートフォンのアラームが鳴りまくっていた。こういう日にかぎって早番なのだよなあ、と嘆きつつ出勤。道路の状況は、心配していたほど悪くはなくて、予想よりも早く到着したのだが。
 今日、松本智津夫麻原彰晃)死刑囚ら7人の死刑が執行された。地下鉄サリン事件は1995年だったから、もう23年も前になるのか。
 あの頃は、毎日テレビでオウム関連の報道が繰り返されていたのだよなあ。僕の知り合いにも、一人、オウムに出家したまま帰ってこなかった人がいる。本当に出家したのかどうかは、確かめようがないのだけれども。
 あれから23年が経って、オウムは無差別テロを起こした極悪人の集団のように語られているけれど、事件の前のオウムについては、好意的に語っていたり、麻原彰晃を宗教人として高く評価していた学者もいたのだ。事件後も、興味本位のオウムネタはテレビにあふれていたし、僕たちも「ホーリーネーム」とか「ポア」なんて言葉をふざけて口にし、選挙での「ショーコーショーコー」という歌をネタにして笑っていた。
 世の中に出てきた頃のオウム真理教は、僕たちにとって、怪しいけれど面白い存在だったのだ。
 本当に恐ろしいものは、だいたい、楽しそうな雰囲気で近づいてくる。
 そのことは、もっと伝えていくべきではないか、と思う。
 平成も終わるのだな、という実感がわいてきた。

 定時に職場を出たのだが、大雨による大渋滞で、いつもなら車で15分の道のりに、4時間もかかってしまった。これはさすがにくたびれた。安全だけを考えるなら、無理に帰ろうとせずに病院に泊まってしまったほうが良いのかもしれないけれど、それでも帰りたいのだよなあ。
「命を守る行動をとってください」
 わかっているようで、実際はなかなか最良の選択ができないのが人間というものなのだろう。


fujipon.hatenadiary.com

約束された場所で―underground 2 (文春文庫)

約束された場所で―underground 2 (文春文庫)