じっぽ当直日誌・スーパーマイルド@はてな

『さるさる日記』から続く、中年内科医の日常日記。これまでの分はこちら。http://touchoku.jugem.jp

第159回芥川賞・直木賞発表。『美しい顔』は、「もう『落選』としか言えない」

 昨夜はまた早めに寝たら深夜に目が覚めてしまい、そのまま寝付けずに悶々とし、夜が明けてきたころまた眠くなって結局寝不足、というパターンに陥ってしまった。最近これが多くてけっこうつらいのだ。朝起きなくても良いのなら問題ないのだが、そういうわけにはいかないし。
 棋士先崎学さんのうつ病体験記を読むと、とにかく朝起きるのがつらくて、何度も何度も起きようとしてはダメ、の繰り返しだったということだ。僕もそんな感じでもあり、でも、そこまでひどくもないか、とも思い。

 今日は気が重くなるような出来事が多かったのだが、考えてみれば、病院の仕事というのは、大概そういう深刻なものに属するのだ。

 第159回の芥川賞直木賞の受賞作が決まった。
 芥川龍之介賞は高橋弘希さんの『送り火』、直木三十五賞島本理生さんの『ファーストラヴ』。
 島本さんって、まだ受賞していなかったっけ、と思ったのだが、そういえば、何度も芥川賞候補になり、直木賞候補にもなっていたのだよなあ。
 個人的には、恋愛ものが多いイメージがあって、苦手な作家なのだが(『ナラタージュ』とか、なんでこの人たちはこんなに寝たがってばかりなのだろう、と読むのがほんとうにつらかった)、まあ、よかったですね、と。
 芥川賞、当初は松尾スズキさんの「有名人受賞」なるか、に注目が集まるはずだったのだけれど、「類似表現問題」の北条裕子さん「美しい顔」の話題ばかりになってしまった。
 問題になったのが、「すでに発表されている震災のノンフィクション作品と表現がそっくりな箇所がかなりたくさんある」ということで、自分の言葉で書いていない(ところが多い)小説に選考委員が授賞するはずはない。ニュースでは「受賞ならず!」なんて書かれていたけれど、たぶん、最初に落選したのではなかろうか。これはもう、内容以前の、作家の自作に対する姿勢の問題なので。選考委員がこの問題について、選評でどう語るかにはすごく興味がある。「選考王」村上龍さんが前回で選考委員を降りてしまったのが返す返すも残念でならない。
 松尾スズキさんは、北条さんの騒動のあおりを受けて、候補になっていたことさえ忘れられてしまったようだ。まあ、本谷有希子さんみたいに、みんなが忘れかけたときに、あっさり獲ってしまうことがあるのも芥川賞直木賞ではある。
 直木賞では、なんとなく、書店が湊かなえシフトになっていると感じていたのだが、僕の思い込みだったみたい。この期間で、湊さんの本はけっこう売れたのではないか。


送り火 (文春e-book)

送り火 (文春e-book)

ファーストラヴ (文春e-book)

ファーストラヴ (文春e-book)