じっぽ当直日誌・スーパーマイルド@はてな

『さるさる日記』から続く、中年内科医の日常日記。これまでの分はこちら。http://touchoku.jugem.jp

中途半端なベテランである僕としては、村田修一選手が行き場をなくしてしまったことに、他人事ではない気がしているのだ。

 昨年のオフに巨人を自由契約となり、栃木ゴールデンブレーブスから日本のプロ野球への復帰を目指していた村田修一選手が会見。7月31日までという今シーズン復帰できる期限が終了し、「『引退』の2文字は使いたくないが、来年ユニフォームを着て、どこかで野球を続けるのは考えにくい」と、実質的な引退というニュアンスの発言をしていた。
 昨年秋、村田選手が巨人から自由契約となったとき、巨人は思い切ったリストラをするなあ、と思ったものだが(実際は本人から自由契約の申し出があったそうだ)、30代後半とはいえ、長打力があって守れるサードはなかなかいないので、本人が絶対レギュラー、とか言わないかぎりはどこかが獲るだろうと予想していた。
 ところが、オフのあいだ、どこからも手が上がらず、シーズンに入っても噂も聞こえてこず……BC栃木では、けっこう活躍していたのだけれど。
 お山の大将的な人柄に問題がある、とか言われてもいたが、そんなことはなく、みんなに慕われていた、という話も出てきて、「人間性」なんていうのは他所からみてもわからないものだ。
 長打がある右打ちのサードって、レギュラー確約とかでなければ、カープの補強ポイントにぴったりの選手だよなあ、とずっと思っていたのだけれど、試合に出られなくてもチームのムードメーカーであり、若手から敬愛されている新井さんや、外国人選手なのにチーム事情もあってずっと二軍でも「若い選手たちのお手本になるのも自分の役割」と猛暑のなか腐らずにプレーしているエルドレッド選手がいて、チームも好調なのだから、あえて村田選手を獲る、というのが現実的ではないよね。
 未知数の外国人選手をシーズン途中で獲得するよりは、よっぽど戦力になりそうなのだが。

 結局のところ、人間性云々というより、かなりの実績があるが松坂クラスの客を呼べるスーパースターとまではいかず、自己主張が激しい(とされる)ベテランを獲ることにみんなが二の足を踏んでいるうちに、期限が来てしまった、ということなのだろう。松坂なんて3年間「プロリハビラー」だったのにちょっとまともに投げられるようになっただけでこの持て囃されっぷりで、ずっと実績を重ねてきた村田がこの評価というのは腑に落ちないが、ピッチャーというのは何人いても困らないが、野手は、ベテランを起用するとそのポジションで若手を育てられない、というのもある。

 中途半端なベテランのひとりである僕としては、村田選手が行き場をなくしてしまったことに、他人事ではない気もしているのだ。
 村田選手の実績は「中途半端」ではなく、かなり立派なものなのだけれども。
 医者の世界でも、それなりに年を取って、実績もあるけれど飛び抜けているわけではない、という医局員の就職先というのは、なかなか難しい。
 いくらなんでも研修医と同じ待遇、というわけにはいかないし、ちょうど良いポストが空いているとは限らない(というか、そんなの存在しないことが多い)、相手側も、どちらかといえば、給料が安くて使い勝手がいい若手を欲しがる。
 そういうときに役立つのが、自分が若手から中堅時代につくってきた人脈だったり、「あの人は感じがいい」というアルバイト先での評判だったりするんだよな。僕はそういうのがないから困ってしまったけれど。
 新井さんやエルドレッド選手の姿勢はすばらしい。お手本になる生き方だと思う。
 そういう生き方を見せてきたおかげで、彼らはベテランになって力が落ちても周囲や首脳陣から必要とされるのだ。
 村田選手が悪いわけじゃないんだよね。いや、運はちょっと悪かったかもしれないけれど。
 佐々岡の引退試合でホームランを「打ってしまった」祟りなのか(村田も大変申し訳なさそうにしていて、打たれた佐々岡のほうが『これでスッキリした』と慰めていた)。
 
 人間、全盛期で、ちやほやされるときにこそ「信頼」とか「謙虚さ」を貯金しておいたほうが良い。
 まあ、そういうのがわかるのは、取り戻せなくなってからなんだけどさ。

ザンキゼロ』ようやくステージ7までクリア。
 やられまくっているうちに、いつのまにか時間が経っている。
 なんとか今週中には決着をつけたいところ。


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