じっぽ当直日誌・スーパーマイルド@はてな

『さるさる日記』から続く、中年内科医の日常日記。これまでの分はこちら。http://touchoku.jugem.jp

「ドキュメント72時間」で『丸栄』の閉店を観て、僕が子どもの頃の「デパート」を思い出していた。

 相変わらず暑い。
 今日はちょっと涼しいのではないか、と思いつつ温度計をみたら33度で、慣れというのは恐ろしいな、とも思う。
 そんなことを考えているあいだに、たぶんまた秋が来るのだ。来るよねほんとに、と確認したくなるのも今年の夏ではあるが。

 久々に、ものすごく時間はあるのに仕事があまりなく、朝夕ともに当番で病院にいなければならない、という一日だった。
 
 夜、『ドキュメント72時間』を観た。
「さよなら! 私の愛した百貨店」という、名古屋で75年間続いた老舗百貨店『丸栄』の閉店までの72時間。
 途中、起死回生を狙った「ギャルを呼び込もうと試みた企画」が行われていた、という話が出てきて、この百貨店でそれは「迷走」だよなあ、と苦笑してしまったのだが、これまでの常連客頼みではじり貧になるのは目に見えているし、閉店を決断するまで、いろいろ試みてはみたのだろうな。でも、画面でみたかぎりでは、売り場の雰囲気とか置かれている商品、丁寧な接客は、懐かしくはあったけれど、僕がいま日常的に利用することはなさそうだ。
 僕が小学生の頃、地元ではいちばん大きな百貨店だった「寿屋」というのが博多駅前に進出し、大宣伝を行っていた。当時はまだバブル景気の前で、週末に家族でデパートに買い物に行くのが恒例の時代だったのだ。あの寿屋は、いつ無くなってしまったのかまったく覚えていない。
 博多のデパートの多くが姿を消し、先日も、小倉駅前の井筒屋が閉店する、というのがニュースになっていた。僕もたまに平日の百貨店に行くことがあるのだが、日中は店員さん以外にまったく人の気配がない専門店が多いことに驚いた記憶がある。もちろん、週末は違うのだろうし、いまや外商が百貨店の生命線なのかもしれないけれど、これでやっていくのは大変だろうな、と、いつも思う。
 イオンモールヤマダ電機でさえ、Amazonと闘わなくてはいけない時代ではあるし。
 
 デパート、には僕も子供の頃の思い出がつまっていて、洋服選びの時間をなんとか耐え忍んで書店やおもちゃ売り場にたどり着き、まだ世に出たばかりのカセットビジョンファミコンの試遊台を見つけたときのうれしさとか、食堂のクリームソーダの緑色とかを今でもときどき思い出す。切手コーナーとか、よくわからない石とかのコーナーを覗いてみるのも好きだった。
 お金やモノよりも心だ、という人もいるけれど、あらためて考えてみると、「何かワクワクするようなものを見たり買ったりする」というのは、人生で、いちばん手軽でわかりやすい「しあわせのかたち」なのだ。


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百貨店とは

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