じっぽ当直日誌・スーパーマイルド@はてな

『さるさる日記』から続く、中年内科医の日常日記。これまでの分はこちら。http://touchoku.jugem.jp

関門海峡の海底トンネルと「元歯科助手」の人生設計

 8月最後の日。
 やたらと暑かった、平成最後の8月も終わっていく。
 僕の仕事は、月が替わってもあんまり代わり映えしないのだけれど。

 帰宅後、『ドキュメント72時間』を見た。
 今日は関門海峡の海底トンネル。
 ふだんは新幹線も車も関門橋の上を通っていくのだが、僕も何度か車で海底トンネルを通ったことがある。個人的には、ずっと地下のトンネルを運転するのは、精神的にちょっとつらかった。軽い閉所恐怖症なので。なんとなく、ここで事故を起こしたら……とか、このまま閉じ込められてしまったら……などという考えが浮かんできてしまうのだよなあ。
 番組内では、海底トンネルを歩いている人たちがたくさん出てきたのだが、想像しやすい「観光」以外だけではなく、ジョギングをしていたり、親子で話をしたり、昔からの友人と定期的に集まったりしている人がいて驚いた。
 なぜこんなところで、と思うのだけれども、こういう「何もない閉鎖空間のほうが落ち着く」という人もいるのだろう。明るくてみんな楽しそうにしている場所というのも、それはそれで居心地が悪いときもあるし。
 21歳の元歯科助手という女性が、ボートレーサーを目指してトンネル内でトレーニングをしていたのだけれど、彼女は「男と同じくらい稼げるかなと思って」と語っていた。
 それを聞いてふと思ったのだが、世の中にはけっこう大勢の歯科助手がいて、女性が多くを占めている。でも、おばちゃん、おばあちゃんの歯科助手というのは、見たことがない。
 歯科助手がみんな若くして亡くなっているとは思えないので、彼女たちは、どこかであの仕事をやめているはずだ。それからの「元歯科助手」たちは、どこに行くのだろうか。
 ボートレーサーになる人は少ないとしても、みんなが専業主婦になるとは思えないし……
 看護師の場合は、経験を積んで師長や主任になっていく人がいたり、ハードな当直から卒業して外来のみのクリニックに勤めるなど、さまざまな行き先があるのだが。
 そう考えると、歯科助手をやめてボートレーサーを目指す気持ちも理解はできる。実際になれるかどうかはさておき。
 

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