じっぽ当直日誌・スーパーマイルド@はてな

『さるさる日記』から続く、中年内科医の日常日記。これまでの分はこちら。http://touchoku.jugem.jp

泳ぎが苦手なのに海上保安官になろうという人もいるのだ。

 終日、雨の土曜日。
 午前中は外来で、夏休みの先生の代診をしていた。
 この病院に長く勤めている先生なので、患者さんも「20年診てもらっている」というような人もいたのだが、主治医の先生との思い出話が延々と続いて、ちょっと困ってしまった。
 外来をやっていると、新患というのは人柄も病気も未知なので、かなり用心して対応しなければならないのだが、長くかかっている人というのも、ちょっとやりづらいところがあるのだよなあ。僕が濃密な人間関係や、人と仲良くするのが苦手だから、というのが理由だとはわかっているのだが。

 帰宅後、昨日録画した『ドキュメント72時間』を観た。今回は「海上保安学校・青春グラフィティー」。
 この番組を観ていると、世の中にはいろんな人生があるものだといつも感心するのだけれど、今回も、「泳ぐのが苦手」なのに海上保安官を目指している人がいたり、『海猿』を観てなりたいと思って、という人がいたりした。恐るべき、『海猿』の影響力。佐藤秀峰先生の『ブラックジャックによろしく』を読んで、医者を目指しました、なんて人も、きっといるのだろう。
 泳ぐのが苦手なのに海上保安官なんて、魚が苦手なのに寿司屋になるようなものではないかと思うし、僕などは『海猿』を観ると「これは自分には絶対無理だ……」としか言いようがないので、本当に人が自分の仕事を選ぶ理由とかきっけかというのはさまざまだよなあ。
 もともと料理の仕事がしたくて、民間企業への就職も考えたけれど、公安の仕事に興味を持ったから、という人もいた。
 言われてみれば当たり前なのだけれど、海上保安官だってご飯を食べなければならないし、生活のインフラを整える人は必要なのだよなあ。
 「国境なき医師団」に、電気やコンピューターや医療機器の専門家が不可欠なように。
 海上保安官には、「自分を危険にさらしても、他者を助けたい、力になりたい」という人もいて、「安定した職業だから」という人もいる。
 そういう、いろんな人がいる組織だというのは、僕にとっては、なんだかすごく安心感がある。
 そして、こういう若者たちが北朝鮮の不審船の侵入の矢面に立っているのだ。
 彼らの仕事がなくて、暇な世の中であってほしいと思う。


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