じっぽ当直日誌・スーパーマイルド@はてな

『さるさる日記』から続く、中年内科医の日常日記。これまでの分はこちら。http://touchoku.jugem.jp

「ドラフト緊急生特番!お母さんありがとう」を観ながら、「他力本願の夢」について考えていた。

 17時からプロ野球のドラフト会議。
 いきなり大阪桐蔭の藤原選手が3球団連続指名。指名が集まると予想されていた根尾選手に4球団、西武が松本投手を一本釣りし、最後にカープの指名。報徳学園の小園海斗選手の名前が挙がっていたのだが、当初は単独指名も可能なのでは、と言われていた小園選手の評価がここへ来てうなぎのぼりで、オリックス、西武にDeNAがすでに指名していた。
 うーん、ここで小園に行っても、4分の1だよなあ。いかにもカープが外しそうなパターンだ……ここで吉田輝星を指名すれば、まさに「一本釣り」なんだけど……
 結局、順当に「広島東洋・小園海斗」とコールされたのだが。
 4球団はけっこう厳しい、これは、小園選手を外して、甲斐野投手あたりでまた競合して、外れ外れ1位パターンか……
 ところが、今年のカープは、ここでも運を引き寄せた。
 なんと、最後に残ったクジで、緒方監督が「抽選権獲得」。中継で映っていた小園選手も嬉しそうな表情で、ちょっと安心した。指名された選手が嫌がってないかなあ、と毎年不安になる長年のカープファン。でも、今のカープは、指名されたくない球団じゃないよね、たぶん。強いし、チームの雰囲気は良いし、けっこう人気もあるし。年俸は安めだけど。
 思えば、こうしてカープが強くなったのは、大瀬良大地投手の「交渉権獲得」のクジを田村スカウトが引き当てた日が契機だったのではなかろうか。
 「自分がいちばん見てきたから……」と涙した田村スカウトに、僕ももらい泣きしてしまった。その大瀬良が、今年はエースとして活躍し、最多勝
 藤原選手はロッテ、根尾選手は中日が交渉権を獲得。吉田輝星選手は、北海道日本ハムが指名した。相変わらずすごいな日本ハム斎藤佑樹大谷翔平清宮幸太郎、そして今年は吉田輝星と、甲子園オールスターズ、という感じだ。
 その後、恒例の「ドラフト緊急生特番」を見ていたのだが、最初に出てきた中川選手が、ギリギリ7位での指名だった。去年の「特番で採りあげられて指名洩れ」という悲劇は観ていてつらかったからなあ……よかった……と思いきや、今年は難病を克服したホンダ鈴鹿の平尾奎太選手が指名洩れ。うーむ。テレビ局も去年の望月涼太選手の件で学べばいいのに……ただでさえ指名されずにつらいところにテレビでインタビューされるのは酷すぎる。本人も家族も「悲痛」としか言いようがないような表情だった。
 田中秀政選手は今年は指名されなかったけれど、「天国のお母さんのために、夢をあきらめないで野球を続けて、プロ野球選手を目指す」と涙ながらに手紙を読んでいた。
 ああ、こういう人を、なんとかプロ野球選手にしてあげたい。でも、プロ野球に入るには、ドラフトで指名されるしかないのだ。それは「他力本願」でもある。もちろん、どこのチームも欲しがるような選手、は存在するのだとしても。
 そこに「夢」を託すというのは、ものすごく、怖いことではなかろうか。
 でも、こういうふうに生きてきたら、そうするしかないよね。

 毎年この番組を観ていて思うのは、同じプロ野球の世界に入る選手でも、希望球団があったり、重複指名のクジでどこの球団に行くことになるのかわからない、ということを不安に感じたりしている選手がいる一方で、「どこのチームでも、何位でもいいから、指名してほしい、とにかくプロになりたい!」という選手もいる、というか、後者のほうが多数派なのだ、ということだ。
 ただ、上位指名だから成功するとは限らないし、下位からでも何億円も稼ぐようになった選手もたくさんいる。こういう番組でドラマチックに採りあげられ、いろんなものを背負って、鳴り物入りでプロに入っても、その後は名前を聞かないこともある。 
 今夜は、この番組をみながら「人間の成長って、何なのだろうな」と思ったよ。


グラゼニ(1) (モーニングコミックス)

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俺たちの「戦力外通告」

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