じっぽ当直日誌・スーパーマイルド@はてな

『さるさる日記』から続く、中年内科医の日常日記。これまでの分はこちら。http://touchoku.jugem.jp

「平成」の終わりとともに、いろんなことに「区切り」がつけられていくような出来事が続いた一日だった。

 カープ菊池涼介選手が近い将来のポスティングでのメジャー挑戦を球団に訴えたことを表明。たぶんそうなんだろうな、とは思っていたけれど、こうして会見ではっきり言われると、現実を思い知らされる。去年までは、銭ゲバ野郎はカープに残り、菊池はメジャーに行くのではないか、と僕は予想していたのだが、結局のところ、両者ともチームから去ってしまうことがほぼ確実になった。むしろ、これだけの選手が、お金があるわけでもない育成球団に集まって、3年間も素晴らしい夢をみせてくれたのだから、感謝すべきなのかな、と、菊池の会見の映像をみながら、楽しい時間の終わりをかみしめていた。本当に、カープファンにとっては、至福の3年間だったな。ただ、一度でいいから、日本一になっていれば、「もうこれでドリームチーム解散!」となっても、もう少し受け入れやすかったのだが。
 カープのようなチームにとっては、すごい選手であればあるほど、そして、チームが強くなればなるほど、ファンにとっては、別れの時が近づいてくる。僕のプロ野球に関する記憶は、今年のCSファイナルで、菊池のホームランで勝った試合で終わりでも良かったのではないか。命長ければ、恥多し。

 将棋では、羽生善治永世七冠が、竜王戦第7局で挑戦者の広瀬章人八段に敗れ、27年ぶりに無冠となった。
 48歳という年齢を考えれば、いくら羽生さんとはいえ、そういう時期にさしかかってきているのは、多くの人が感じていたはずだ。物心ついたときから、コンピュータが身近なものだった若い棋士たちがどんどん台頭してくるなか、羽生さんは、同世代のなかで、孤高の存在としてタイトルを守ってきたのだ。
 むしろ、48歳でもこんなに強いことが驚きなのだけれど、羽生さんと年齢が近い僕にとっては、寂しさを感じずにはいられない。
 もちろん、羽生さんがこれで終わり、というわけではないだろうけれど、歴史のひとつの転換点ではある。
 羽生さんというのは、精神論が滅び、技術が素直に評価される時代になった「平成」の象徴でもあった。
 次の年号は、デジタルネイティブというか、「コンピュータと共生するのが当たり前」になった人々の時代になるのだろう。

 「平成」の終わりとともに、いろんなことに「区切り」がつけられていくような出来事が続いた一日だった。


超越の棋士 羽生善治との対話

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二塁手革命 (光文社新書)

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