ツイッターのトレンドに「橋本治さん」があがっていて、「もしや……」と思いつつ確認してみると、橋本さん逝去が報じられていた。
とにかくいろんなものを書いていた人、というイメージなのだが、僕にとっていちばん印象的だったのは、『桃尻語訳枕草子』で、まだ高校生だった僕は、「春って曙よ!」という書き出しを読んで、こっちは国語の古典に苦戦しているのに、こんな訳で良いのかよ!とツッコミを入れ、橋本さんをテレビでみて、「こんないかついオッサンが、あんな軽い文体で『女子高生っぽく』書いているのか」と不思議な気分になったものだ。
正直、「いまの女子高生は、こんな喋り方はしないよな」とも思っていたのだけれど。
人が実際に喋っている言葉って、そのまま書き起こすと、男性か女性かというのは言葉遣いだけではよくわからないことが多い。
もちろん、橋本さんは、そんなことは百も承知で「世間に『らしく』感じてもらえる女子高生の喋り風の現代語訳」をやってみせたのだ。
そういえば、『上司は思いつきでものを言う』も橋本さんのベストセラーだったんだよなあ。これほどすべてを物語っていて、しかも、読んでみようかな、と思わせるタイトルは稀有だろう。「とめてくれるな、おっかさん」と言い、コピーライティングの才能にも恵まれていた人だった。
最近は、僕は学生時代に、ちょうどいまの僕の年齢くらいで活躍していた作家や芸能人の訃報に接することが多くなった。
橋本さんが、あれから積み重ねてきた30年に比べると、僕の30年なんてスカスカだよな。
まあ、比べる相手が悪すぎる、と言われればそれまでなのだが。
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