じっぽ当直日誌・スーパーマイルド@はてな

『さるさる日記』から続く、中年内科医の日常日記。これまでの分はこちら。http://touchoku.jugem.jp

「作品に罪はない」のだけれど、「作品に影響が及ぶ」というのは事実だと思う。

 月曜日ということで、ちょっとした仕事がいろいろあって、けっこうあわただしかった。
 新井浩文さんが出演していた作品が軒並み公開延期になったり、放映中止・配信停止になったりしているようだ。
 これに対して、「一人の犯罪で、作品全体が失われてしまうのは残念すぎる」「作品に罪はない」という反応も少なからずあるようだ。
 新井さんに関しては、「何か危険なことをやりそうな雰囲気」みたいなのがセールスポイントではあったと思うのだが、やっぱり、本当に犯罪をやってしまうとアウトなんだよなあ。
 『真田丸』とかが配信停止になってしまったのは(一時的な措置だと思いたいが)、そこまでやらなくても……という感じはするけれど、放送や上映したらしたで、やっぱり抗議されたりもするのだろうな。
 画面で演じている人物と役者のプライベートを同一視する必要はない、とはいえ、それを完全に切り離せるほど、僕は物事を客観視できる人間ではない。
 『三度目の殺人』という是枝裕和監督の映画を観ていたときに、広瀬すずさんのお母さん役で斉藤由貴さんが出演していたのだが、ちょうど写真週刊誌で不倫が報じられていた時期で、不倫相手の男性が女性用のパンティをかぶってはしゃいでいる写真が流出していたのだ。
 やっぱり、斉藤由貴さんの顔をみると、シリアスな映画でも、その「変態仮面不倫男」のことを思い出さずはいられなくて、映画の世界に入り込むことが難しかった。
 いま、新井浩文さんが出演している作品をみても、事件のことが頭に浮かんできてしまって、いちいち現実に引き戻されそうだ。
 「作品に罪はない」のだけれど、「作品に影響が及ぶ」というのは事実だと思う。
 「狂気を演じる」ことが求められつつ、現実で狂ったことをやると一巻の終わり、というのは、けっこうきつい綱渡りなのかもしれないな。
 役者というのは、演じるのが仕事であり、日常でもあるのだから。
 日常と仕事を完全に切り離すというのは、そんなに簡単なことじゃないし。
 良い人を演じるのは上手いけれど、プライベートでは酷いヤツ、というパターンもあるだろうし。
 プロレスでは、悪役レスラーのほうが、「いいひと」が多い、というのもよく言われる話だ。


三度目の殺人

三度目の殺人