じっぽ当直日誌・スーパーマイルド@はてな

『さるさる日記』から続く、中年内科医の日常日記。これまでの分はこちら。http://touchoku.jugem.jp

藤田菜七子騎手のG1初騎乗と49歳の「生ける伝説」と

 今日は今年初のG1、フェブラリーS
 これまでの実績と臨戦過程を考えると、ここはゴールドドリーム連軸で堅いのではないか、とは思う。気がかりなのは、同一G1を3年連続で好走するのは難しい、ということくらいか。これまでの僕の記憶でも、2年連続で結果を出す馬は多いのだが、3年目になるとダメ、というケースが多いのだ。記憶のなかでは、3年好走を続けたのは、春の天皇賞メジロマックイーンくらい。
 ただ、人気どころのインティは府中の芝スタートも、マイル戦そのものもはじめて、ということで、東海Sの勝ち方もあわせて、去年のテイエムジンソクっぽいなあ、という気がするし(ちなみに僕の去年の本命がテイエムジンソクだった)、藤田菜七子騎手のコパノキッキングは、1400mから1600mへの距離延長がマイナスになりそうなのと、前走は若手外国人騎手のなかでもかなり腕が良さそうなマーフィー騎手だったことを考えると、藤田騎手への乗り替わりは少なくともプラスにはなるまい。それにしても、藤田騎手への競馬番組、スポーツ番組の忖度っぷりはすごくて、「菜七子がんばれ!」「ついにG1騎乗」という応援ムード一色だ。正直、G1初騎乗でいきなり勝てるほど甘い世界じゃなかろう。チャンスがありそうな馬にあえて乗せたコパさんは勇気も余裕もあるよなあ。そもそも、マーフィー騎手からの乗り替わりならば、ほとんどの騎手は「鞍上弱化」になるわけで。

 人気上位馬のなかで、インティとコパノキッキングは過剰人気だし、オメガパフュームは左回りが苦手でマイルも短い気がする。
 
 ということで、サンライズソア、ノヴァにユラノト、ノンコノユメあたりを厚めに、ゴールドドリームから総流しとした。
 危険な人気馬だと思いつつ、結局、ゴールドリームから、インティもコパノキッキングも購入。

 レースは、武豊騎乗のインティが単騎で逃げ、ペースもスローに。
 直線ではインティが後続を突き放し、楽勝かというところから、ゴールドドリームが一頭だけ迫ってきたが、インティがこの追撃をしのいで7連勝でG1制覇。テイエムジンソクじゃなかったのか……3着にユラノト。
 逃げたら競られないのも、武豊騎手の存在感、みたいなものなんだろうな。ゴールドドリームも強かった。こちらも完璧なレースだったと思う。ただ、今日はインティに展開も向いた。パドックや返し馬では、インティはかなり入れ込んでいるように見えたのだが、実戦では折り合いもしっかりついて、最後まで伸びていた。こんなレースをされては、後ろからの馬は、どうしようもない。
 そんななかで、道中最後方からすすめていた藤田菜七子騎手のコパノキッキングは、直線で追い込んできて、掲示板確保の5着。
 このスローペースで最後方から5着なのだから、力がある馬だ。
 藤田菜七子騎手も、馬が強かったとはいえ、初のG1レースで掲示板に載ったのはたいしたものだ。内心、ボロ負けするんじゃないか、と思っていたので申し訳ない。
 そもそも、6着と5着では、掲示板に載るか載らないかでは、ひとつの順位でもだいぶ印象は違うわけで、藤田騎手は「持っている人」なのかもしれない。
 器用に乗ろうとせずに、調教師(あるいはオーナー)の指示通りに最後方から思い切った競馬をしたのも結果的にはよかったのだろう。
 それにしても、こういう注目されるレースで、不安点がたくさんある馬で1番人気になって、勝ってしまう武豊騎手は凄すぎる。
 インタビューで、「ブレイクしてますね」って、笑いをとりにいく、競馬界の生きた伝説・武豊。もう49歳なんだよなあ。

 今年初のG1は、堅い決着となり、ゴールドドリームを軸にしたのは正解だったが、危険な人気馬だと思っていたインティが来たので、ほんの少しだけプラス。というか、直前にオッズを確認していなかったら、当ててもマイナスになっていたところだった。最近は、締切寸前でのオッズの変動が激しいので怖い(しかも、たいがい、配当が安くなるほうに振れる)。

 藤田菜七子騎手は、注目され、有力馬にも乗っていただけに、ここで全然ダメだと、今後に影響する怖れもあった。
 ここで「及第点」(馬券を買っていた人たちは、違う意見だろうけど)の仕事ができたのは立派なことで、G1の掲示板に日本人の女性騎手鞍上の馬が載るのは、偉業なのだ。
 「今日はこれで十分だ」杉本清さんの溟実況を思い出す。

 今年も、競馬は難しい。去年のテイエムジンソクでの苦い経験がなければ、インティをもっと買えていたはずなのに。
 まあ、抑えていた分だけ、僕も成長したというか、プラスの額よりも、とりあえず当たったほうが機嫌が良くなる自分とうまく折り合えるようになったということなのだろう。