じっぽ当直日誌・スーパーマイルド@はてな

『さるさる日記』から続く、中年内科医の日常日記。これまでの分はこちら。http://touchoku.jugem.jp

ある弁当屋での中年男の葛藤とバティスタ選手の話

 仕事帰りに弁当を買って帰ったのだが、レジにいた若い女性に「ネットで予約していた〇〇ですけど……」と話しけたら、「なんですか?」と強い口調で聞き返されてイラっとした。
 僕は自分の声の大きさや滑舌にコンプレックスがあるので、「はあ?」とか言われることへの耐性が低いというのは自覚しているつもりなのだが……


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 店が忙しくて、僕の前に並んでいた人が、後ろに人がいるにもかかわらず、なかなか注文を決めてくれず、後ろに譲ってもくれず、という状態で、僕も店員さんもイライラしていた影響もあったのだろう。
 こういうとき、僕は自分に「弁当屋のアルバイトって、声が小さいオッサンにニコニコしなきゃいけないほどバイト代貰っているわけじゃないよな」と言い聞かせるのだが、ネットでは「日本のサービスは報酬に比べて過剰だ」なんて言っていても、実際に自分がちょっと雑な扱いを受けると、「何それ」って言いたくなるのだよなあ。
 対応に苛立ち、それに苛立ってしまう自分を責め、なんだかもう泥沼だ。僕は弁当屋で何をやっているのか。

 広島カープバティスタ選手のドーピング検査陽性について、出場停止6か月の裁定が出た。
 球団側からは「契約については未定です」というコメントが出て、世論を見極めてからの判断になりそうだが、鈴木本部長は「これまでにトラブルもないし、ドミニカからやってきて、育成からずっと真面目にやってきたから……」と、今後の契約に前向きな様子がうかがわれた。
 僕の正直な気持ちとしては、ドーピングはあってはならないことではあるし、今回の件も、かなり疑わしい気もするけれど、バティスタにもう一度チャンスをあげたい。というか、バティスタと同じくらいの活躍を期待できる選手を連れてくるのは難儀なことだと思うし。
 そもそも、みんな、不祥事を起こした人に対して「あんな奴は許せない」「さっさとクビにしろ」とか言うけれど、そうしたとしても、残るのは「野球しかしてこなかった、腕っぷしの強くてガラの悪い人間」でしかない。これまで、不祥事でスポーツ界を去っていった選手たちのその後をみると、反社会的勢力の一員になったり、犯罪を繰り返したり、という事例が本当に多い。それに比べて、飲酒暴力事件で、さんざん「クビにしろ」と言われた山口俊投手や賭博に関わった高木投手は、今は活躍をしているし、みんな不祥事にはあまり触れなくなってしまった。
 人は、けっこうあっさり忘れてしまう生き物なのだ。
 それが良いとか悪いとかともかく。
 山口投手とか、これだけ今年の巨人の躍進に貢献すれば、もう「英雄」扱いだし。
 それならば、人を殺めたり、致命的に傷つけるような行為でなければ、ペナルティを課した上で復帰させるほうが、世の中のためにもマシなのではなかろうか。
 やってしまった側も、「やめずにしがみつく」ほうが、たぶん正解なのだと思う。

 ……という理屈めいたことを書いたけれど、本音を言えば、ずっと贔屓チームの一員として応援してきた選手だから、憎めないし、憎みたくない。許すことは難しいとしても、なんとか、もう一度だけチャンスをあげてほしい。新井さんの背番号が欲しい、と言った男がわざとドーピングをするなんて、信じたくない。

 それでも、一度ああいうことがあると、あれこれ考えてしまうのも事実なのだけれど。
 日本球界を追われても、メジャーでやれる可能性だってあるしなあ。


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