じっぽ当直日誌・スーパーマイルド@はてな

『さるさる日記』から続く、中年内科医の日常日記。これまでの分はこちら。http://touchoku.jugem.jp

映画『64(ロクヨン)・前編』の佐藤浩市さんがすごい!(たぶん後編もすごいと思う)

 午前中外来。今日はいつもに比べると、比較的落ち着いて仕事ができた感じ。
 いつもこのくらいで勘弁してもらえれば良いのだが。
 外来を終えて、病棟の患者さんの処置をしばらく行い、夕方に職場を出た。


 映画『64(ロクヨン)・前編』を鑑賞。
 佐藤浩市さんをはじめとする、名優たちの演技バトル、という評価をネットで観ていた。
 僕は横山秀夫さんの原作小説は既読で、NHKで放送されていたテレビドラマ版は未見。
 正直、結末を知っているミステリを映画で観て楽しめるのだろうか、という疑問はあり、『ズートピア』にしようかとも思ったのだが、そっちの上映時間には間にあわなかったんだよね。『変態仮面』は近くに上映館がないし。
 というわけで、あまり期待せずに観はじめたのだけれど、組織の一員であり、そのなかで上司と部下の板挟みになり、家では娘に「お父さんに似た顔が憎い!」とまで言われている佐藤浩市さんの姿に、「ああ、三上さん、あなたは僕ですか……」とすっかり引き込まれてしまった。三上(佐藤さんの役名。群馬県警の広報部長)は、僕なんかよりも、ずっと粘り強く、組織のなかで、譲れるところは譲りながらも、自分の信念を殺すまいとし続けている男なんだけどさ。
 NHKのドラマでは三上をピエール瀧さんが演じていて、「うん、原作のイメージからすると、そのキャスティング、華はないけど合ってるな」と思ったものだ(といっても、ドラマのほうは2話くらいしか観ていないのだが。
 佐藤浩市じゃ、かっこよすぎるだろ……と批判的だったのに、前編を観終えた段階で、佐藤浩市さんへの仲間意識まで感じるようになってしまうとは。
 それも、抑揚をつける演技じゃなくて、ひたすら、いろんなものを飲み込んでいく、のみこみ続けていくんだよね、三上って。
 この人は、どこまで辛抱して、のみこみつづけるのだろう?って、どんどん膨らんでいく風船を近くでみているような、そんな心境になってくるのだ。
 榮倉奈々さんも好演。「婦警はホステスじゃない!」と記者クラブとの飲み会に参加させない三上に「私に『まだキレイなところが残っている自分』を投影しないでほしい。みんなが仕事としてやっている飲み会なら、私だけを特別扱いしないでほしい」と言い返す場面をみて、仕事における「男女平等」って何だろうなあ、と考え込んでしまった。
現実問題として、飲み会で酔っ払って前後不覚になった場合のリスクは、男よりも女のほうが高いのではないかと思うが、ひとりの社会人としては「女だから」ということで、そこまで配慮されると疎外感しかない、というのも理解できるような気がする。
 三上が一言「警察は、男じゃないと生きられない世界だ」
 うーむ。

 とりあえず、この「前編」は、ごく一部を除いて、佐藤浩市さんがサンドバッグにされる映画だ。
 観ているのが、とてもつらい。
 自分の息子くらいの年齢の女の子が誘拐事件の被害者になるのもキツイ。
 だが、この映画には、さまざまな事情を抱えながら生きている人たちの「不屈の魂」みたいなものがチラチラと垣間見える。
 ボロボロになりながらも、リングに立ち続ける人の姿が見える。
 そして、彼の目は、まだ死んでいない。

 傑作だと思う。
 とくに、僕みたいな、人生に疲れがちなオヤジには、効くよこれ。


 清原和博被告の初公判。
 いろいろあったけれど、更生してくれればいいな、と思う。
 個人的には、広島対西武の日本シリーズで打たれたことくらいしか恨みはないし。
 あのキヨハラが自らの薬物体験の語り部になれば、耳を傾ける人も少なくないはず。
 なかなか縁が切れないのが薬物なので、自分を過信せずに、しっかり専門治療を受けてほしい。
 清原のホームランがすべて黒歴史になってしまうのは、野球ファンにとって、すごく悲しいことだから。
 トウカイテイオーマヤノトップガンのレースを観るたびに、馬のことより、まず、田原……って思うものなあ。

 25時に就寝。


d.hatena.ne.jp