じっぽ当直日誌・スーパーマイルド@はてな

『さるさる日記』から続く、中年内科医の日常日記。これまでの分はこちら。http://touchoku.jugem.jp

オリンピックの男子マラソンを観ながら、ロサンゼルスオリンピックの瀬古利彦さんのことを思い出していた。

 帰国翌日。
 そんなに飛行機で長時間眠ったわけでもないのに(たぶん、ロンドンから羽田の間に4〜5時間くらい)、なんだかあまり眠くならず、少し明るく時間になってようやく就寝。
 というわけで、目が覚めたのはお昼過ぎ。
 夏の甲子園の決勝戦や日本ハムソフトバンクの試合などを観たあと、『競馬BEAT』へ。
 昨年の年度代表馬・モーリスは札幌記念で2000mを克服できるのか? 雨で馬場が重くなっているのは、海外でも強さをみせているモーリスにとっては、かえって有利ではなかろうか。
 府中ならともかく、小回りの札幌でもあるし。
 北九州記念でも、ベルカント単勝2倍を切る人気となっている。
 どちらも堅そう、というか、相手に恵まれた感もある。

 ところが、競馬というのはわからないもので、ベルカントは持ち味の先行力を活かした競馬をしたものの、馬場が荒れているためなのか、牝馬の56kgがこたえたのか、ゴール前でバクシンテイオーに差し切られ2着まで。しかしこのバクシンテイオーって、『ダービースタリオン』で名前のストックが尽きたときのようなネーミングだな。
 
 それでも、モーリスはまあ、この相手なら……と思いきや、モレイラ騎手はひたすら折り合い重視で中団の後ろの位置取り。
 直線の短い札幌で、この稍重の馬場で、ここで良いのか?
 モーリスは、4コーナーから早めに仕掛けて上がっていったが、直線はジリジリとしか伸びない。
 逃げたルメールのネオリアリズムの影も踏めず、後ろからは3歳のレインボーラインに詰め寄られながらも、なんとか2着を確保するのが精一杯、というレースだった。
 スローペースだったのか、というと、前に行った馬で残ったのは勝ったネオリアリズムだけで、後半1000mのほうが時計もかかっており、スローの前残り、というわけでもなさそう。
 でもまあ、あの位置取りからよく2着に来たな、という気もするんだよなあ。
 ネオリアリズムよりも、ずっと外をまわって距離損も大きかったし。
 うーむ、展開なのか馬場なのか距離なのか、それとも力が衰えてきているのか?
 がっかり、ではあるし、それでも格好はつけた、とも言え、評価が難しい結果になってしまった。

 夜、オリンピックの男子マラソンを観た。
 オリンピックの夏のマラソンというのも、ある意味、札幌記念のような「ちょっと変わった条件への適性が問われるレース」なのだよなあ。
 マラソンのトップ選手がタイムを競うレースは、普通、真夏にはやらないから。
 

 日本人選手はあまり下馬評が高くもなかったのだが、荒れる可能性もあるから誰かメダル圏内にやってこないかな、と少し期待していたのだが、結果は入賞にも届かず。
 ただ、最近の日本の男子マラソンの成績を考えると、妥当な結果ではある。
 日本代表の選手たちは、少なくとも猫ひろしには負けなかった。


 アイスコーヒーを飲みながら、僕が子どもの頃は、日本の男子マラソンは強かったよなあ、と思い出していた。
 小学生のとき、夏休みの旅行の途中で、ロサンゼルスオリンピックの男子マラソンの競技が行われていた。
 日本最強ランナーと呼ばれていた瀬古利彦さんが優勝候補で、僕は瀬古が金メダルを獲ったかどうか、ものすごく気になっていたのだ。
 当時はネットですぐに結果を知ることもできなかったので、ホテルにチェックインしたときに、父親が受付の人に「瀬古はどうでしたか?」と訊ねてくれたのを覚えている。
 僕のためだったのか、父親も気になっていたのだろうか。
 ホテルの人が「14位だったみたいです、瀬古選手」と答えたとき、僕は「あの瀬古でも負けるのか……しかも、14位?」と愕然とした記憶がある。
 結局、瀬古はオリンピックで入賞することさえできなかった(2回出場し、最高順位はソウルオリンピックの9位)。
 あれは、僕のなかではもっとも記憶に残る「オリンピックの魔物」だった。


 これでリオオリンピックの競技も終わり、次、2020年は東京オリンピックが再びやってくる。

 今夜もあまりよく眠れず、また明るくなるまで起きていた。
 これが時差ボケなのか、怠惰なだけなのか……