6年目の3月11日。
6年というのは、小学校に入学してから卒業するまでの時間だ。
もうそんなに経ってしまったのか、というのと、まだそのくらいしか経っていないのか、というのと。
九州に住んでいる僕には、東北の人たちが体験したことどころか、東京の人たちが過ごした家に帰れない夜も、伝聞でしかわからない。
それは、ものすごく幸運なことではあるのだが、そういう立場で、実際にはほとんど影響を受けていないにもかかわらず「震災の記憶を風化させるな」なんて言うのもおこがましいとは思う。僕自身もテレビ画面を通じての記憶しかないのだから。
とはいえ、8歳と2歳のふたりの息子たちについて考えるとき、そういえば長男は「津波、こわい、こわい」っておぼつかない言葉で言っていたが、次男は震災のときにはまだこの世に存在しなかったのだな、と「東日本大震災前後」という区分みたいなものを思い浮かべてしまう。
6年間か……すべてを解決するには短すぎる時間ではあるけれど、もう少し、いろんなことが解決されたり、改善されていても良かった、ような気がする。
それができなかったのは、何が悪かったのだろう。
あの3月、お金はもうそんなに要らないから、少しでも多くの人が救われれば、と思った気持ちに嘘はなかったはずだ。
だが、今はそんな切実な思いがあったことすら、忘れてしまっている。
原発も、どうなるのかな。
絶対廃止、再稼働なんてありえない、と思っていた僕も「積極的に賛成はしないが、もし誰かが動かすことに決めたら、反対運動まではしない」というのがいまのスタンスになっている。
今日はなんだか、何をやってもうまくいかない日で、終日鬱々としていた。
夜は外食したのだが、どこも人でいっぱだった。
震災の記憶を風化させてはいけない、と言うけれど、風化しなかった過去の記憶なんて無いんだよな。
忘れられてしまうまでの期間に長短はあるにせよ。
24時に就寝。
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