じっぽ当直日誌・スーパーマイルド@はてな

『さるさる日記』から続く、中年内科医の日常日記。これまでの分はこちら。http://touchoku.jugem.jp

カープの中村裕太投手の初登板・初先発・初勝利に「ひとつ勝つことができなかった人」のことを思い出した。

 ゴールデンウイークということで、少しはそれらしいことをしようとショッピングモールまで出かけてみたのだが、ゴールデンウイークを甘くみていた。
 まだ開店時間直後のはずなのに、すごい渋滞で、駐車場にすら入ることができず断念。すまん。でもわざわざ今日行かなくてもいいよね。
 もともと人混みが苦手なこともあり(得意な人もいないだろうけど)、あえてゴールデンウイーク中に出かけることはほとんど無かったのだが、こんなに混雑するものなのか。これはこれでかえって面倒なものだな。

 カープマツダスタジアムで中日戦。
 カープはプロ入り後一軍での初登板・初先発の中村裕太投手の先発。
 中日はベテラン・吉見投手。
 まあ、普通に考えれば、なかなか厳しい組み合わせではある。
 中村裕太は、初回に不運なヒットから内野ゴロのあいだに1失点、さらに、盗塁+8番バッターにタイムリーを打たれてもう1点を失って0対2。
 ボールは高めに浮きぎみではあったけれど、なかなか力はありそう。
 4回の裏、新井さんのホームランで2対2の同点に追いつき、これから、というところで、5回の表に中日の京田選手にホームランを浴び、2対3と、また1点リードされてしまっった。5回までで中村裕太投手は降板。
 初登板・初先発で5回3失点ならまずまず、といったところかな、と思っていたら、その裏、中日・ゲレーロ選手のエラーからカープが逆転、その後、会澤選手の2ランホームランなどで追加点をとり、中田廉・一岡・ジャクソン・今村とつないで、7対4と、カープは見事な逆転勝ち。
 5回を投げ切った中村裕太投手は、プロ初登板・初先発の試合で、勝ち投手となった。
 「マエケン2世」なんて呼ばれているそうだけれど、前田健太投手と比べるのはまだかわいそう、という感じではある。
 だが、5回3失点、しかも、同点に追いついた直後に突き放されるという内容ながらも勝ちが転がり込んできたというのは、この投手が「勝ち運」みたいなものを持っているということだろう。
 それは、もしかしたら、ものすごく大事なものなのかもしれない。


 今日の中村裕太投手の初勝利をみて、武内久士投手のことを思い出していた。

fujipon.hatenablog.com


 2013年6月28日の阪神戦、プロ入り後2度目の先発のチャンスでの武内投手のピッチングは素晴らしいもので、6回までノーヒットに抑え、7回1失点で降板。その時点でのスコアは4−1とカープがリードしており、ようやく武内もプロ初勝利か、と思いきや、リリーフ陣が打たれて、痛恨の逆転負け。
 その後、武内投手は1軍でひとつも勝つことができず、2015年に戦力外となった。
 今日の中村裕太投手よりも、2013年の武内投手のほうが、間違いなく「良いピッチング」だったのに。
 でも、野球の神様というのがいるのであれば、その神様は、中村裕太投手にはプロ初勝利を与え、武内久士投手からは、寸前で奪ってしまった。
 めぐり合わせというか、天運、みたいなもの、というか……
 プロ野球でひとつ勝つことは、とても大変なこと。
 にもかかわらず、勝つ人、勝つときは、何かに引き寄せられるように、それが手に入ってしまう。
 ちょっと、いや、かなり不公平だよな、なんてことを考えずにはいられなかった。
 カープファンとして、中村裕太投手の初勝利は、本当に喜ばしい。
 まず、ひとつ勝つことが、人生を良い方向へ変えていくことって、絶対にあるから。
 だからこそ、「ひとつ勝つことができなかった人」のことを思い出してしまうのではあるけれど。
 中村裕太投手と武内久士投手のそれぞれの未来に、幸多からんことを。


 25時に就寝。


広島アスリートマガジン2017年5月号

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