じっぽ当直日誌・スーパーマイルド@はてな

『さるさる日記』から続く、中年内科医の日常日記。これまでの分はこちら。http://touchoku.jugem.jp

「ひふみん」は、最後まで足掻き続け、悔しさを露わにして去っていった。

 朝、ネットで芥川賞直木賞の候補作が決まったことを知った。
 芥川賞候補が4作というのは戦後最少らしい。
 直木賞候補は5作で、宮内悠介さんや柚木麻子さん、佐藤正午さんなど。
 宮内さんも芥川賞候補になったり、直木賞候補になったりと忙しいな。
 絲山英子さんも行ったり来たりで、結局芥川賞に落ち着いたけれど、宮内さんはどうなるのだろうか。
 そもそも直木賞の候補になるような作家は、芥川賞にノミネートされるのはおかしいような気もするのだが、実際は作品の掲載誌によって振り分けられているらしい。

 お昼は、ロッテの井口資仁選手が今シーズン限りでの引退を発表。
 ダイエーホークスから、メジャーリーグを経て、ロッテでも活躍してきた選手なのだが、九州人としてはダイエー時代がいちばん印象深い。あの頃のホークスは、いまの選手層が分厚い王者という感じではなく、日の出の勢いの個性派集団だったんだよなあ。
 とりあえず、42歳まで現役で、試合にも出続けているのだから、たいしたものだ。
 ネットで読んだ記事によると、井口選手はロッテの伊東監督と、いまのロッテのチーム状態について、「これまでの野球人生で、こんなに負けたことがありましたか?」「いや、なかった」という会話を交わしたらしい。選手として西武の黄金時代を築き、監督としても手腕を評価されている伊東監督と、常勝ホークスのメンバーで、メジャーリーグでもホワイトソックスでワールドチャンピオンになった井口選手。
 井口選手にとっては、「よりによって、なんで最後の年に……」だろうし、伊東監督もこのままでは来シーズンも指揮を執るかどうか微妙なところ。
 ふたりは、「このまま終わるわけにはいかないな」とシーズン後半での反撃を誓い合ったそうだ。
 黒田博樹投手のように、ずっとBクラスのカープで苦闘してきて、現役最後の年にリーグ優勝を果たした人もいるのだから、人生というのは、案外公平なのかもしれない。

 77歳の加藤一二三九段が、竜王戦のリーグ戦で敗れ、現役を引退することになった。
 というか、もうこれで、出られる公式戦がなくなってしまうのだ。
 加藤九段は、感想戦を行わず、投了とともに、待ち構えていた報道陣を振り切って会場を去っていったという。
 これで引退という事実は変わらないのだから、しっかり感想戦をやって、報道陣にいまの心境を語るのが普通だとは思うのだけれど、本人はまだまだやれるという気持ちがあって、まだ頭も身体も動くのに引退せざるをえないことを受け入れられなかったのだろうか。
 往生際が悪いのか、77歳でもまだ現役に、目の前の将棋で勝つことにこだわる執念があるからこそ、これまで勝負の世界で生き抜くことができたのか。
 ひとつだけ言えるのは、加藤一二三さんは、すごく悔しかったのだろうな、ということだ。
 加藤さんほどの立場になっても、悟ったフリをせず足掻き続ける人生も、それはそれで格好いいな、と思う。
 これから日本はさらに高齢化が進むし、将棋にもゴルフのシニアツアーみたいなカテゴリーをつくってみたら面白いかもしれない。
 それにしても、相手はものすごくやりづらかっただろうな、この対局。

 24時に就寝。