じっぽ当直日誌・スーパーマイルド@はてな

『さるさる日記』から続く、中年内科医の日常日記。これまでの分はこちら。http://touchoku.jugem.jp

『ハクソー・リッジ』は、なんだか素直に受け止めきれない映画だった。

 午前中外来、午後からは病棟の仕事など。
 なんと台風が九州に接近してきており、明日は大雨になるかもしれないとのこと。どおりで夕方からは曇って、風も強くなってきたわけだ。
 明日の仕事がちょっと心配。
 しかし、台風って、なんとなく9月のイメージがあるのだが、今年は早いな。

 それはさておき、生ぬるい風が吹くなか、仕事を終えて映画館へ。
 メル・ギブソン監督の『ハクソー・リッジ』を鑑賞。
 宣伝で沖縄にはまったく触れられていなかったが、太平洋戦争末期の沖縄戦が舞台の戦争映画だ。
 戦争映画とはいっても、宗教上の信念から自らは銃を手に取らず、衛生兵として激戦のなか大勢の傷ついた兵士を助けた男の実話。
 冒頭に出てきたのが、"based on true story"ではなく、"true story"だったことに、制作側のプライドを感じる。
 この映画、とにかく戦場の描写がすさまじい。PG-12指定で、「小学生には保護者の助言・指導が必要とされ、なるべく親や保護者と一緒に観るのが望ましい」ということなのだが、僕は「これ、親と一緒だったら、小学生でも見られるのか?」と驚いてしまった。トラウマになりそう……
 見ていて、「もう勘弁してくれ……」と言いたくなる、リアルで残酷な戦場シーンの連続。いや、これがリアルかどうかなんて、本当は僕にはよくわからないんだけどさ。戦争に行ったことないし。でも、これは戦場には行きたくないなあ、とは思うよ。
 戦場で銃を持たずに多くの負傷者を助けた衛生兵の伝記と思わせておいて、本当は戦場の悲惨さをアピールする反戦映画なんだな、と僕なりに納得しながら見ていたのだけれど、最後まで見てみると、あまり「反戦」でもないような気がする。どちらかというと、「それでも守らなければならない大切なものがある」と言っているようにみえる。
 しかし、やられているのが日本軍であるというのは、いたたまれないよなやっぱり。
 当時の沖縄の日本軍には、負傷兵を送る「後方」が、もう存在しなかったのだから。

 主人公はすごいなあ、えらいなあ、と思うけれど、「いい話」と素直に受け止めきれない、そんな映画ではあった。
 そもそも、「戦争に参加している」と「加わっていない」の線引きはどこにあるのか。
 自らは血を流していないけれど、傭兵を雇って戦った人や国は、「戦争をしていない」と言えるのか。

 昨日のぶんを少し取り返すつもりで、24時に就寝。
 

fujipon.hatenadiary.com

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