マリナーズのイチロー外野手が、会長付特別補佐に就任し、今シーズンは試合ではプレーできない立場になったとのこと。
「今シーズンは」と報道されてはいるけれど、44歳で今シーズンもここまで成績が振るわなかった選手が、1シーズンのブランクのあとで1軍の戦力として期待されるとは考えにくいので、実質的にこれで引退、ということになるのだろう。
ついこのあいだ、来年のマリナーズの開幕戦を日本でやるという話を聞いて、それなら、来年の開幕戦までは、とりあえずイチローはマリナーズにいるのだな、と思ったのだが、こういう形になるとは。それとも、とりあえずその来年の日本での試合を見越して、引退や解雇ではなく、こういう扱いにしたのか。
イチロー自身は「野球の研究者でありたい」「44歳でアスリートとしてどうなっていくのか見てみたい。プレーしなくても毎日鍛錬していくとどうなっていくのか見てみたい。チームと一緒に練習できる」とそれなりに納得しているようだけれども、プロのチームとしては、コーチでもなく、裏方でもなく、「試合には絶対に出場しないけれども、自分を鍛えるために一緒に練習はする人」という存在は、「異物」でしかないような気がする。プロ野球のチームは研究所ではなくて、戦って勝つための組織なのだから、他の選手とは違うモチベーションで練習している人がいると、やりにくいのではないか。
イチローは野球が好きでたまらない、野球選手でありつづけたい、というのはよくわかるのだけれども、いまの選手としての力で「現役的なもの」にこだわりつづけるよりは、経験を活かして次の道を探したほうが良いと思う。こんなモラトリアムが何年も続けられるはずもないのだから。指導者にしても解説者にしてもタレントにしても、第二の人生だって、スタートが早いほうがいい。
サッカーの三浦知良選手にしても、もはや戦力というよりも「ファンサービスのための存在」で、本人はそれでも現役であることで満足していたとしても、チームとしては、集客面以外では、あまりプラスになっていないように思う。
マリナーズも、そんなにイチローが大事なら、何年か前、もっと早めに再獲得してあげればよかったのに。
メジャーリーグでは、日本のような「引退試合」が無いことがほとんどなのは、ちょっと寂しいよね。
あと、阪神淡路大震災のあと、オリックスが「がんばろう神戸」で優勝したときのイチローの存在感は本当にすごかった。ひとりの傑出した選手の力で、チームはこんなに変わるものなのか、と驚かされた。
いろいろと思うところはあるけれど、間違いなく、僕は「伝説」をデビューからこれまで見てきたのだ。
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