じっぽ当直日誌・スーパーマイルド@はてな

『さるさる日記』から続く、中年内科医の日常日記。これまでの分はこちら。http://touchoku.jugem.jp

藤岡佑介騎手の初G1制覇をみて、「壁を破るときは、こういうものなんだな」と思った。

 ついにゴールデンウィーク最終日。
 終日雨で、夜にはけっこう激しく降っていた。
 最終日ともなると、休むことに疲れてはいるけれど、明日から働くのも憂鬱、という、なんとも救いようのない気分になってしまう。
 
 NHKマイルカップ
 このレースとしては比較的好メンバーが集まったという印象なのだが、本命は重賞2勝で、前走のアーリントンカップも強かったタワーオブロンドン。去年のリエノテソーロのことを思い出すと、相手には何が来てもおかしくないということで、枠連で4枠から同枠も含めて総流し。あとは、最近好調の藤岡佑介騎手の騎乗で、なんだかすごく気になるケイアイノーテックがそんなに人気になっていなかったので、ここからも何頭か流した。こういう買い方だと当たってもそんなに大きなプラスにはならないのだが、僕の場合は、とにかく当てて気分よく月曜日を迎えたい、という気持ちなのだ。
 こうして賭けて外れたときの落ち込みを考えると、賭けないほうが良いんだろう、とはいつも思うのだけれども。
 
 レースは予想通りのテトラドラクマの逃げになったのだが、タワーオブロンドンは中団やや後ろの位置どり。スタートがいまひとつだったこともあるけれど、ちょっと後ろすぎるのでは……と思っていたら、ケイアイノーテックはさらにその後ろで、今の府中の高速馬場で、そんなところから届くわけないだろ……と内心毒づいていた。
 直線に入り、テトラドラクマは早々に脱落。タワーオブロンドンは、内を狙ったのか外に出せなかったのか、ずっと馬群に包まれてしまい、手も足も出ない。ルメール何やってるんだ……と絶望的な気分で、敗戦処理的にゴール前の攻防をみていたら、なんと外からケイアイノーテック!えっ、これ、もしかして、当たる?となんだかキツネにつままれたように絶望の淵から蘇ったところがゴールだった。ケイアイノーテックのいる6枠からの枠連5-6のほかに、馬連で11−17、11−16も持っていたので、レッドヴェイロンがもうひと頑張りしていてくれれば万々歳だったのだが、それは贅沢というものだろう。長年やっていると、こういう「勘で当たってしまうレース」が、年に1回くらいある。去年のエリザベス女王杯とか。
 実際は「余計な勘のおかげで、傷口を広げてしまう」ケースのほうがはるかに多いのだけれども。
 
 これがG1初制覇となった藤岡祐介騎手は、本当に嬉しそうで、周りのスタッフや騎手仲間も、これまでG1で7回も2着になりながら勝てなかった騎手がようやく壁を破れたことを祝福していた。
 ケイアイノーテックは前走が戸崎騎手で、NHKマイルCでは武豊騎手に乗り替わる予定だっただが、武豊騎手の騎乗停止により、急遽、藤岡佑介騎手に手綱がまわってきた。藤岡佑介騎手、先週の春の天皇賞では、ずっと乗ってきたガンコで人気になって初のG1制覇が期待されていながら、前々の競馬をしながらも最後は失速してしまっていた。
 インタビューでは「自分はうまく乗れなかったのだけれど、馬が強かった」と謙遜していたのだけれど、僕もレース前半では「あんなところにいて、届くわけないだろ!」とがっかりしていたのだ。
 勝てるときは、こういうものなのだなあ。


 明日からはまた通常営業。