じっぽ当直日誌・スーパーマイルド@はてな

『さるさる日記』から続く、中年内科医の日常日記。これまでの分はこちら。http://touchoku.jugem.jp

オルフェーブルがあのとき、勝っていればなあ、というのを、あと何回繰り返すことになるのだろうか。

 カープは今季最終戦。相手は宿敵・DeNA。巨人の菅野投手と15勝で並んでいて、最多勝がかかっている大瀬良投手が先発で、ここはなんとか勝ちをつけてあげたいところ。
 序盤はランナーが出るものの、カープは毎回ダブルプレーを食らうというジリジリする展開になった。先に我慢しきれなくなったのは大瀬良で、丸とホームラン王争いをしているソトに一発を浴びてしまった。
 しかしながら、安部と菊池のタイムリーで逆転!よし、このまま大瀬良に勝ちをつけて、有終の美を飾る!……はずだったのだが。
 結局、大瀬良が追いつかれ、9回の表には中崎が四球で出したランナーにサード・上本のエラーも絡んで勝ち越され、そのままゲームセット。最近のDeNA戦って、こんな試合ばっかり……
 大変不満が残る公式戦最後の試合だったが、大目標はこの試合に勝つことじゃなくて、ポストシーズンを勝ち抜くこと、だものね。むしろ、このくらいどん底なほうが、本番になって良い結果を出すことがある、というのは、この間のワールドカップで、サッカー男子日本代表が見せてくれたではないか。
 ああ、ここまでくると、もう、ヤケクソでポジティブ思考に至ってしまうな。
 ことごとく、ここぞというところでうまくいかないカープなのだが、今年はマツダスタジアムでの胴上げもできて、一歩前進はしている、たぶん。

 夜、凱旋門賞の中継を観ていた。馬券も少しだけ購入。
 一番人気のエネイブル、力があるのはわかっているのだが、膝を怪我して前走は11か月ぶりのレースだった。そこで圧勝とはいえ、馬場はオールウェザーという、普通の芝コースとはちょっと違った舞台で、相手はかなり弱かった。去年の凱旋門賞はロンシャンではなかったし。これはまさに、危険な人気馬にちがいない!
 というわけで、前走フォワ賞で強かったヴァルトガイストを本命にして、かなり手広くながした。もちろん、エネイブルにも。最後に、保険のつもりで、エネイブルと人気のシーオブクラスの馬連も。シーオブクラスは強そうなんだけれど、凱旋門賞って、直線が長い割には追い込み馬には厳しいレースなんだよなあ。僕の記憶のかぎりでは、ダンシングブレーヴくらいしか来たことがない。
 クリンチャーは、応援はしているものの、馬券的にはスルー。海外競馬を買うメリットは、過剰人気の日本馬が海外馬のオッズを上げてくれることにある。とか言いながら、マカヒキのときは、けっこう買ったのだけど。
 もしかしたら、クリンチャーって、ロンシャンの馬場にものすごく適性があるかもしれない、とも思っていたのだが、フォワ賞のレースをみていると、ちょっとこれは難しいな、という感じだった。
 日本競馬の悲願である凱旋門賞制覇、それも武豊騎手で、というのはロマンなのだけれども、クリンチャーが勝ってしまうと、ディープインパクトエルコンドルパサーオルフェーヴルは何だったんだ、ということになる。
 凱旋門賞を勝つ最初の日本馬は、誰もが「現役最強」と認めるような殿堂馬クラスであってほしいのだよなあ。二頭目以降は、適性とか展開で勝ってしまっても構わないので。
 あのドバイワールドカップで、日本馬で唯一優勝したのがヴィクトワールピサだということを、どのくらいの人が記憶しているだろうか。
 レースは、僕が「危険な人気馬」呼ばわりしていたエネイブルが、前目から抜け出して、シーオブクラスの猛追をしのいで凱旋門賞連覇を達成。このローテーション、僕の経験上、高確率で来ないパターンなんだけどねえ。本命のヴァルトガイストは4着まで。僕の逆神っぷりも半端ないな……3着にクロスオブスターズ。
 馬券的には、保険が功を奏し、ほんの少しだけプラスになったのだけれど。
 クリンチャーは17着。勝たれたらリアクションに困るな、とか言いながら、負けてしまうと、歴史的な大番狂わせがあっても面白かったかもな、なんて思う自分の厚かましさよ。
 たぶん、日本の馬のなかには、「日本の高速馬場は合わないけれど、ロンシャンなら強い馬」もいるのではないか。凱旋門賞馬が何頭もジャパンカップに出走しているけれど、府中では結果を出せていないのだし。
 とりあえず、挑戦しないとチャンスはない、というのは、まさにその通りではある。
 なんのかんの言っても、日本調教馬が出たほうが盛り上がるし、馬券も売れるだろうし。
 それにしても、毎年凱旋門賞を観るたびに、オルフェーヴルが4歳のときの2着を思い出す。いや、何度あのレースを見返してみても、結果を知っているはずなのに、「オルフェーヴル勝っただろこれ」とゴール直前まで確信してしまうのだ。
 当直室で飛び跳ね、声を押し殺しながら絶叫し、観ていたのだよなあ、このレース。
 あのとき、ソレミアが差し返してきたのをみて、ダビスタみたいだ……」と唖然としたのが忘れられない。
 自分の年齢を考えると、日本の馬の凱旋門賞制覇は、「生きている間に見られるかどうか微妙なことリスト」に入ってきた。サッカー男子日本代表のワールドカップ制覇は「無理」のボックスへ、カープのリーグ優勝は「期待薄」から「実現」のボックスへ。日本一もなんとか「実現」に入ってほしい。僕が元気で凱旋門賞を観られるのも、あと20回くらいかな……オルフェーブルがあのとき、勝っていればなあ、というのを、あと何回繰り返すことになるのだろうか。本当に勝てそうな日本馬が出走する年、一度は現地で観戦してみたいと思っている。


凱旋門賞に挑んだ日本の名馬たち 誰も書かなかった名勝負の舞台裏

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