じっぽ当直日誌・スーパーマイルド@はてな

『さるさる日記』から続く、中年内科医の日常日記。これまでの分はこちら。http://touchoku.jugem.jp

勝ちっぷりも負けっぷりも印象的だった、名牝ウオッカの思い出

 ウオッカがイギリスのニューマーケットで逝去。15歳だったとのこと。
 15歳という年齢での死は、繁殖牝馬としてはやや早めではあるけれど、産駒も遺してくれたし……などと考えてはいるのだが、思い出も多い馬だけに、やっぱり寂しい。ウオッカが生きているうちに、産駒がもう少し活躍してくれればなあ……タニノフランケルにはがんばってほしい。
 ウオッカが2歳女王になり、桜花賞ダイワスカーレットに敗れたあと、オークスではなくダービーに向かったときには、「牝馬にダービーは荷が重かろう」と予想し、ウオッカの馬券は1枚も買っていなかった。むしろ、人気を吸ってくれるいいお客さん、に見えていた。
 ダービーの日は出かける用事があって、あとで結果を確認したら、「ウオッカ優勝」というのをみて「えっ?」と絶句したものだ。
 そのときのダービー1番人気が、皐月賞ではすごい脚で追い込んできたものの届かず3着だったフサイチホウオーだったのだよなあ。あれで、皐月賞で最後に追い込んできたからといって、距離が伸びるダービーがもっと向いているとは限らない、という貴重な教訓を得た。あと、牝馬だからといって、ダービーでは通用しないという先入観は持つべきではない、ということも。もっとも、後者のほうは、ウオッカ以降、牝馬が馬券に絡んだことはないのだけれども。
 ウオッカというのは、記録にも記憶にも残る馬だったけれど、東京競馬場では無類の強さを発揮した一方で、それ以外のコースでは全く馬券にならないような負けっぷりを見せることも少なくなかった。
 ダイワスカーレットとの一騎打ちとなった、歴史に残る名勝負の秋の天皇賞や、最後の直線で包まれて万事休す、という状況から、前が開いたとたんに凄い脚でディープスカイを差し切った安田記念、距離が長いと思ったら府中なら強かったジャパンカップなど、いまでも忘れられないレースが多い。あの安田記念ウオッカ1着の馬単しか持っていなかったので、絶望から歓喜へ、という感じだったなあ。
 ウオッカは本当に美しく、力強い馬だった。活躍した期間の長さや勝ち負けの派手さもあって、僕にとっては、もっとも印象に残っている牝馬だ。
 ウオッカ献杯したい気分ではあるが、手元にないので、気持ちだけでも。
 

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