じっぽ当直日誌・スーパーマイルド@はてな

『さるさる日記』から続く、中年内科医の日常日記。これまでの分はこちら。http://touchoku.jugem.jp

菊池涼介選手がいなくなる覚悟はできていた、と自分に言い聞かせてみる。

 夕方、ネットで「カープ菊池涼介選手のポスティング申請容認」というニュースを見た。
 結論が出るのは、いま開催されている「プレミア12」が終わってからだと思っていたのだが。
 菊池が海外FA権を得るのは、再来年のシーズン終了後の予定で、来年、あと1年はカープに残ってくれるのではないか、と期待してもいた。カープのFA権持ちの選手たちが嬉しい予想外でみんな残留してくれたこともあり、菊池がいれば、来年は優勝が狙えるのではないか、とも考えていた。
 だが、正直言うと、「やっぱりなあ」「致し方ないなあ」という気分ではある。
 今年、新井さんに銭ゲバがいなくなった後のカープで、菊池はずっと不機嫌というか、モチベーションを失っているように見えていたのだ。あの広い守備範囲をずっと続けてきたことにより、満身創痍でもある。あと1年、とはいっても、菊池にとっては、年々、自分の身体が削られていくという思いがあったのかもしれない。
 僕は菊池を球場では1回しかみたことない。それも、マツダスタジアムではなくて、札幌ドームだ。
 日本シリーズで、タイムリーを打たれた、と思った打球を菊池が華麗にさばき、スタンドは大歓声に包まれた。
 菊池のおかげで、カープファンは自チームが守っているときも、楽しい時間を過ごせたと思う。
 
 行先が巨人とかソフトバンクとか楽天ではなく、メジャーに挑戦ということで、けっこう素直に頑張ってほしいな、と応援している。
 そもそも、菊池がいなければ、リーグ三連覇なんていう至福の時間は過ごせなかったし、2018年のCSで、粘りに粘った新井さんが出塁したあと、ホームランで決勝点をあげ、ふたりでお立ち台で嬉しそうに抱き合った場面は忘れられない。
 そういえば、あんなに嬉しそうな菊池を見たのはあれが最後のような気がするし、メジャーリーグ挑戦で、またあのチャラくて活き活きとした菊池の顔が見られるのであれば、それもまた良し。

 しかし、あの3連覇から、まだ1年しか経っていないのに、銭ゲバが抜け、菊池がメジャーに挑戦し、田中広輔は今シーズン絶不調+手術明けと、あの優勝の立役者が次々とチームを去っていくのはさびしいかぎりだ。黒田さん、新井さん、エルドレッドも、もういない。
 劉備玄徳が、関羽張飛を失ったあと、黄忠も亡くなった際に、「五虎の大将軍、すでに逝くもの三虎」と嘆いた場面を思い出す’。たしか、吉川英治の『三國志』にあったはずだ。もちろん、引退した選手を除けば、まだみんなこれから活躍できるはずなのだが。三連覇があまりにも幸福な時間だっただけに、その反動の大きさに、打ちのめされている。
 鈴木誠也の活躍をみるたびに、「すごいなあ」と思うのと同時に、別れがどんどん近づいてきている、とも思うのだ。
 選手としてのスケールを考えると、国内移籍ではなくて、メジャーを目指してくれ!というのが、僕のささやかな祈りだ。
 セカンドができる新外国人を獲得した時点で、覚悟はしていた。
 だが、来年はきっと何度も、「いまの打球、菊池だったらアウトにしていた」と嘆くことになるのだろう。

 最も悲しい別れは、いつも一番最後にやってくる。


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