菅義偉自民党新総裁が誕生。下馬評通りの圧勝だった。僕は菅さんは参謀型であり、それを自認していると思い込んでいたので、今回の総裁選出馬は意外な印象を受けている。やはり、一度は総理大臣の椅子に座ってみたい、という思いがあったのか、それとも、なんらかの力関係で、安倍政権の権力構造を維持するために菅さんの出馬が求められたのか。
菅さんがトップに立つというのは、参謀型で元官房長官というこれまでのキャリアもあり、福田康夫さんのことを思い出してしまう。
福田康夫さんも官房長官としてはきわめて有能と言われていたのだけれど、首相としてはほとんど印象に残るような仕事ができず、わずか1年で投げ出すような形になってしまった。
個人的には、菅さんの首相就任により、ドコモやKDDI、ソフトバンクといった通信系の株価が暴落しているのがつらい。菅さんは以前から「日本の携帯電話の通話料は海外に比べて高すぎる。4割値下げしろ」と言っていた人なのだ。
いや、携帯電話の通話料金が安くなるのは悪いことじゃない。少なくとも、今の日本人の大部分が携帯電話を使っているし、値下げは減税と同じような効果があるはずだ。理屈ではわかっていても、自分のお金が絡むと、「まあ、世の中のためだからしょうがないな」と割り切れないものだな、と通信株ホルダーとしてはぼやきたくなるものだ。自分が株とかを持っていると、「知らない誰かが不幸になるより、株価が下がるほうが怖い」という発想になるのがよくわかる。
芦名星さんの訃報には驚いた。昔からなんだか気になる登場人物だな、と思っていると、演じているのが芦名さん、ということが何度かあったのだ。けっこう前に、『七瀬ふたたび』という映画に主演したときに、原作者の筒井康隆さんが「芦名さんがこれまで演じた人のなかで、いちばん原作の七瀬のイメージに近い」とコメントしていたのを思い出す。最近は、主役というより、個性的なバイプレイヤーとして評価されてきた感じだったので、残念だ。
しかし、芦名さんくらいの「芸能界でそこそこ成功している人」でも、自分をやめてしまいたい、という衝動に駆られることがあるのだよなあ。本当の理由はわからないし、なんらかの持病とか、漠然とした不安、みたいなものなのかもしれないが、満たされて生きている人なんて、そんなに多くはないのかもしれないな。自分はこんなものではないはず、というような向上心とかも、諸刃の剣ではあるのだ。
ただ、他人の死についてあれこれ語ることは、たぶん、すべて的外れなのだろうな、とも思う。だいたい、僕だって、自分自身にも説明できなかったり、理屈に合わなかったりすることばかりなのだし。