じっぽ当直日誌・スーパーマイルド@はてな

『さるさる日記』から続く、中年内科医の日常日記。これまでの分はこちら。http://touchoku.jugem.jp

「ディアドラと世界を旅する男」の凱旋門賞

 今日はスプリンターズS。秋のG1の緒戦だ。
 グランアレグリア、モズスーパーフレア、ダノンスマッシュの3頭が人気になっているが、出走16頭、どの馬にも展開によってはチャンスがありそうなメンバー。グランアレグリアは休み明けだし、モズスーパーフレアは中山1200mなら、と思うのだけれど、今の中山の馬場は外差し有利。ダノンスマッシュは安定感はありそうなのだが、ここまでG1になると結果を出せておらず、2枠3番を「もうちょっと外がよかった」と陣営も嘆き節。難しいなあ、緒戦から。
 結局、僕はこれまでずっと1200mのG1で本命にし続けてきたダノンスマッシュを、ここで勝たれたら悔しい(グランアレグリア高松宮記念も直線の最後でなんとか間に合った、という競馬だし、プラス12キロはまだ大目標は先ではないか、とも思ったし)という理由で軸にした。あとはグランアレグリア、モズスーパーフレアとの枠連ボックスと、3頭から昨年のこのレースでも見せ場があったミスターメロディにも流してみた。
 終わってみれば、グランアレグリア強すぎ参った、としか言いようがなかったのだが。道中は後ろから2番手で、休み明けでプラス体重で、これじゃ届かないな、と思っていたのだけれど、最後の直線はものすごい脚で、出負けしながらうまく馬場の良いところを通って先頭に出ようとしていたダノンスマッシュの横を並ぶ間もなく駆け抜けていった。ハイペースが幸いした面はあるにせよ、1200mでも、休み明けでもこんなに強いのか、グランアレグリア。朝日杯でクリノガウディにも負けて3着だったり、NHKマイルカップでも完敗だったりしたのは昔の話、ということなのだろうか。それとも、アドマイヤマーズがいたらダメなのか?今年の安田記念はアドマイヤマーズもいたのだけれど(ほとんど存在感は発揮できなかったが)。
 ダノンスマッシュは、軸にして馬券を買っていた僕からすると、出負けしながらもうまくリカバリーした好騎乗だったと思う。今日のダノンは、G1馬になってもおかしくない競馬をした。スーパーG1馬が、一緒のレースに出ていただけで。正直、最後にアウィルアウェイがすごい脚で飛んできたときにはちょっとヒヤヒヤしたけれど。

 夜は凱旋門賞グリーンチャンネルで観た。
 今年は不良馬場でもあり、せっかくスプリンターズSで少し勝ったので、いい気分で眠れるように馬券は買わず。
 それでも、エネイブルが強いのではないか、と思っていたし、道中も馬群のなかで満を持しているようにみえた。
 だが、最後、馬場なのか、進路が狭くなった影響があったのか、前にいた馬と脚色が同じになってしまって全く伸びず、着外に惨敗。日本の競馬でもそうなのだけれど、どんなに強い馬でも、一度連勝が途切れてしまうと、なかなか勝てなくなってしまうことが多い。あれだけG1レースを買ったのに、晩年は2着ばかりになり、引退レースは馬券外になったテイエムオペラオーを思い出す。ディープインパクトみたいな戦績の馬は、レアケースなのだ。
 正直、馬券買わなくてよかった……
 買うとしたら、エネイブルから、ストラディヴァリウス以外の人気馬に流すつもりだったので。
 ディアドラもよく最後まで走りきってくれた。直線入り口あたりでは、一瞬、「おっ!」と思うところもあったのだけれど。
 騎手が「今日はこの馬には馬場が重すぎた」と言っているのを聞いて、ディアドラにとって重すぎる馬場って、どれだけ重いんだよ、と。
 3歳時の秋華賞で、不良馬場を猛然と追い込んできて勝ったディアドラをみて、重馬場巧者だなあ、という印象があり、この馬場なら、と僕は内心期待していたのだが。欧州の「不良馬場」だと、もう日本の芝レースの道悪とは別物なのだろうな。
 中継をみていて、1年以上もディアドラに帯同している日本人の調教助手・込山雄太さんが紹介されていた。
 新型コロナウイルス禍で、国境をこえる移動が制限されているなかで、周りに日本人がほとんどいない環境のなか、異国でG1馬の体調を管理する責任を負い続けているって、すごいプレッシャーだろうなあ、ある意味、辻山さんはディアドラ以上に大変な時間を過ごしているのではなかろうか。
 でも、辻山さんは「もう(ディアドラと)離れたくない気持ちです」と言っていたらしい。これはもう、愛だよなあ。ディアドラが6歳牝馬であることを考えると、一緒にいられる時間もそんなに長くはないだろうと思う。だからこそ、この人と馬の時間が、ちょっと羨ましい気がしてならないのだ。


news.yahoo.co.jp

凱旋門賞に挑んだ日本の名馬たち 誰も書かなかった名勝負の舞台裏

凱旋門賞に挑んだ日本の名馬たち 誰も書かなかった名勝負の舞台裏

  • 作者:平松 さとし
  • 発売日: 2014/09/12
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)