じっぽ当直日誌・スーパーマイルド@はてな

『さるさる日記』から続く、中年内科医の日常日記。これまでの分はこちら。http://touchoku.jugem.jp

『逃げるは恥だが役に立つ ガンバレ人類!新春スペシャル!!』の率直な感想

 年が明けた。元日はTwitterでヨドバシ博多でPS5が売られている!というのをみて慌てて出撃したのだが、着いたときには売られている痕跡すらなく、落ち込みつつ帰ってきたくらいで、とくに書くこともなくダラダラしていた。しかし雪のなかヨドバシまで1時間近くかけて出かけていくこの行動力が、自分がやりたいことをやるときにだけ発動するのがなんとも恨めしい。チュートリアルの徳井さんも、こういうタイプなのではなかろうか。やりたくないことは、夜中にトイレに行くことすらめんどくさいんだよなあ、行くけど。
 2日は夕方にダウンタウンの浜田さんと有名芸能人が「爆買い」するという番組を観ていた。世の中には110万円の自転車や100万円のステッキや1000万円くらいするアンティークドールが存在するのだ。どれも僕は存在すら知らなかったし、たぶん一生縁もあるまい。でも、観ていてなんだか楽しい番組ではあった。僕が大好きな昔のマイコンとかも、世の中の興味がない人にとっては「デカくて機能もショボい粗大ゴミ」みたいなものなのだろうしねえ。
 夜、『逃げるは恥だが役に立つ ガンバレ人類!新春スペシャル!!』を観た。今年の正月番組で、ちゃんと自分の意思で観た唯一の番組。
 新垣結衣さんのみくりは4年経っても変わらず観ているだけで嬉しい。だが、内容的には、自分の父親としてのこれまでの罪状をあげられ続けているような、大変居心地の悪いものではあった。平匡さんが「もう一度妻が妊娠したところからやりなおせたら、もっとうまくやれるのに」と後悔するシーンには、共感せずにはいられない。まあでも、全体的に「わかりやすい」ドラマにしようとして、かえって物足りない感じもあった。プロジェクトマネージャーが前時代的・体育会的なオッサンだから、視聴者も「何コイツ」と「敵認定」しやすいのだが、「誰かの産休とか育休で仕事が回らなくなるのはプロジェクトマネージャーが悪い」というのは、ちょっとわかりやすくしすぎではなかろうか。大概の職場では、元々効率化とか生産性を上げるとかでギリギリの人数でやっているところに休む人が出て、それでも産休や育休をとらせないわけにはいかなくて、偉い人や善良な人が仕事を自分でどんどん背負っているような状況のほうが多いような気がする。みくりさんのお父さんも「現在の常識とされているふるまい」ができないことで、あんなに悪く描かれるのもちょっとかわいそうだよなあ。自分がある程度年齢を重ねてきて実感しているのだが、それまで自分が体験し、生きてきた常識を「あなたは古い」と全否定されるのはけっこうつらいものだし、変えたくても変えられないというか、どう変わっていいのかわからない。そして、「自立」とか「平等なパートナーシップ」とかも、新型コロナという外部からの大きな危機の前では、「生き延びるために、一時停止」しなければならないのが現実の難しさなのだろう。たとえば、こういう世の中になったからといって、戦争になったら男女平等でみんな戦場に行くべき、なのだろうか。まあ、そんなのくだらない思考実験であるに越したことはないけれども。百合さんの子宮がんの件は、ドラマ的には、中途半端というか、そのエピソードの必要性が感じられなかったのだよなあ。もちろん、人は必要性があるから病気になるわけじゃないけどさ。いろんなものを盛り込もうとして、みんな中途半端になってしまっているドラマだったとは思う。ただ、夫婦のありかたとか、社会と妊娠出産とかの問題は、現時点ではまだ「道半ば」でもあり、ちゃんと描いているから中途半端なのだ、とも言える。みくりさんと平匡さんを観られただけでけっこう幸せだったけれど、「がんばれ」って言われることに、この年末年始はとくに疲れを感じている。理由をうまく説明できないけれど、「また『がんばれ』かよ……」と、思ってしまっている。とりあえず、最後が新曲とかじゃなくて、『恋ダンス』でよかった。