じっぽ当直日誌・スーパーマイルド@はてな

『さるさる日記』から続く、中年内科医の日常日記。これまでの分はこちら。http://touchoku.jugem.jp

岩田康誠騎手の粗暴行為に「バカじゃねえか、でも、他人事じゃないな」と思った。


 遅番の土曜日は、朝から憂鬱だ。
 夕方には帰れるし、救急車がバンバン来る病院ではないのだから、ハード救急病院での当直・日直に比べたらイージーモードのはずなのだが、人間、キツイのには慣れないのに、ラクなほうにはすぐに適応してしまう。忙しいっていってもたかが知れているのに、「今日はなんで外来の新患が僕にばっかり割り当てられるのか」などとわざわざ他者と比べて不機嫌になってしまう。僕もそろそろ、安定した仕事と収入があるだけありがたい、という態度を示さなくては、と思うのだけれども。

 仕事を終えて帰宅すると、岩田康誠騎手が不祥事で騎乗停止になったのを知った。今日の競馬で、その前のレースで迷惑をかけられたという若手騎手を、レース前の返し馬の際に、幅寄せして騎乗馬ごとラチ(コースの柵)に押しつけた、ということらしい。
 47歳にもなって、そんなことするなんて……とネットでは批判されていたけれど、同じくらいの年齢の僕は、47歳だから、ガマンできずにやっちゃったのかな、と思わなくもない。若い頃って、「未来のために」自分の衝動を抑えよう、ここで暴れたり反撃したりしてもプラスにはならない、という分別があったのだけれど、もう引退とか「終わり」とかが見えてくると「もう、ガマンしなくても良いんじゃないか」と暴発してしまいそうになるのだよなあ。

 一歩引いて考えれば、どんな失礼なことをされたにせよ、レース前に馬に乗ったまま「復讐」なんてやったら、自分の職業人生に悪影響を及ぼすのはわかりきっている。お金をかけている人がいて、「公正競馬」をうたっているのに、そんなことをするヤツがいたら、日本中央競馬会という組織全体の信用も揺らいでしまう。もちろん、人間がやることだから、落馬や不利を受けることもあるし、人間関係が反映されることもあることはわかっているつもりだが、賭けて外れた人にとっては「金返せ」以外のなにものでもなかろう。

 まあ、岩田康誠騎手は、昔から血の気が多いというか、「勝ちにこだわり抜く」あまりダーティな面があったのも事実なので、年齢のせいだけじゃないとは思うけれど。煽り運転をするヤツと同じだよなあこれじゃ。
 日本中央競馬会にとっては、もう、引退勧告レベルの不祥事だと思うのだが……
(でも、もっとひどいことというか、刑事罰レベルの犯罪をやった騎手もいるんだよね。冷静に考えると、よくそんなものにカネ賭けてるな自分……)

 最近は、かッとしないように、安定剤に頼っている僕が言うことではないのだけどさ。
 同世代的には、「バカじゃねえか、でも、他人事じゃないな」と感じた出来事だった。


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