じっぽ当直日誌・スーパーマイルド@はてな

『さるさる日記』から続く、中年内科医の日常日記。これまでの分はこちら。http://touchoku.jugem.jp

『ベイビー・ブローカー』と韓国映画が苦手な理由

 6月30日。今日で2022年も半分が終わる。年を取ると時間が経つのが早くなるというが、確かにそうだ。時間が経つのは早いのだが、給料日まではまだ遠い気はするのだが。

 平日休みだったので、朝から映画館へ『ベイビー・ブローカー』を観に行った。是枝裕和監督が韓国で撮った、赤ちゃんポストから養子縁組ブローカーに奪われた赤ん坊とその母親の話。是枝監督は、1962年生まれの60歳だから、僕より10歳くらい年上。僕よりも家父長制度が色濃かった時代の日本で子供時代を過ごし、これまで「家族という概念が崩壊していく社会」を生きてきたのだ。是枝監督は、社会の取り残された(見捨てられた)人々や、これまでの「家族という概念」には当てはまらないような家族的な関係をずっと描き続けてきた。

 あまりにも急激な変化と、それを当たり前のように振る舞う人々に、是枝監督は「これまで大事にしてきた価値観を変えるなんて、そんな簡単なものじゃないだろう」と言い続けているようにも見える。

 正直、僕は韓国の映画やドラマにはあまり興味がない。嫌韓、というわけではなくて、兵役があったり、自己主張が激しかったり、という社会問題に積極的に向き合う「重さ」に、観る前から胃もたれしてしまうのだ。現実がこんなにめんどくさいのに、お金を払って映画館で考えさせられるのもキツくなってきた。毎週同じような
水戸黄門』を観ていた父親に「よく飽きないな」と思っていたのだが、あれは「毎回似たような内容で、観ていて疲れないし、ハッピーエンドが約束されている」から適度な気分転換になっていたのだな。

『ベイビー・ブローカー』は、役者さんたちや製作陣の力作だった。ただ、個人的には、観客を考えさせようとするあまり、お膳立てが出来すぎているのが鼻につく映画でもあった。役者さんたちの「圧」みたいなものが強いのもちょっと苦手。あんな「いいひと」たちが赤ちゃんの養子縁組ブローカーを何度もやってきたとは思えないんだよなあ。

ただ、こういうのを「じゃあ面白くしよう」とか「軽いタッチで見せよう」とせずに、直球でぶつけられるのが韓国映画であり、その観客なのだろうし、その熱気は羨ましくもあった。

テーマパークのアトラクションのように観客を楽しませるの『トップガン マーヴェリック』の翌週に、こういうひたすら「行間を読んでいく映画」を観ると、同じ「映画」でも、けっこう幅広いものだとあらためて感じた。

とにかく暑いせいか、夜もずっとグッタリして何もやる気が起きず。秋山選手が入団会見を行った夜、またもや中崎が打たれて(矢野の痛恨のエラーもあった)ヤクルト様にマツダスタジアムで3連敗。あの場面で中崎を起用するのも、やっぱり打たれる中崎も、ただただ悲しくて情けない。


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