じっぽ当直日誌・スーパーマイルド@はてな

『さるさる日記』から続く、中年内科医の日常日記。これまでの分はこちら。http://touchoku.jugem.jp

冬月先生は『エヴァンゲリオン』のなかで、もっとも大人で、もっとも屈折した内面を持っていたような気がする。


 朝から身体が重い。
 単に仕事に行くのがイヤなのか、中年鬱なのか、コロナが精神的にも負担になっているのか、Fit Boxing2で頑張りすぎているのか、自分でもよくわからない。
 思い返してみれば、昨日、スイッチの『ライブアライブ』でキリが良いところまで少しだけ、とやりはじめたら、25時過ぎまでさんざん道に迷ったり敵にエンカウントしすぎたりしてイライラしたからなのか。

 高校野球の夏の大会で、仙台育英高校が優勝し、Twitterでは「ついに優勝旗が白河の関を越えた」と多くの人々が喜んでいた。
 
 僕自身は、子どもの頃に親の仕事で転勤が多くて、「地元意識」とか「方言」というのが苦手な人生をおくってきたので、高校野球で地元の県の代表が活躍しても、とくになんとも思わない。自分の身内や知り合いでもないだろうに、と言いたくなるが、SNSでは言わない。
 きじもなかずばうたれだに。
 白河の関とかいうけど、もうずっと前に津軽海峡すら越えてるじゃないか、とか言うのも不粋だろうし。
 
 研修医になった25年くらい前、病室で高校野球や大相撲を見ている人の多さに感心したのだが、25年経っても世の中というのは、案外変わらないものだ。僕がもう少しだけ年を取って入退院を繰り返す頃には、みんなYouTubeとかを見るようになるのだろうか。人というのは、より便利そうなものができても、自分がずっとやってきた習慣を切り替えるのはなかなか難しい。僕だってそうだ。CDという物質に興味がなく、ダウンロードが第一選択、という自分の子どもをみて、ようやく自分の「古さ」に気づく。

 冬月コウゾウ役で知られる声優・俳優の清川元夢さんが亡くなられた。87歳という年齢を考えると、悲しくはあるけれど、『エヴァンゲリオン新劇場版』の冬月先生の声が変わることなく完結したことに「やり遂げた」感じもする。もちろん、ご本人にとって、どうだったのかはよくわからないけれど。冬月先生は目立つキャラクターではないけれど、教え子だったゲンドウを部下としてサポートしつづける内心や、ユイへの感情など、『エヴァンゲリオン』のなかで、もっとも大人で、もっとも屈折した内面を持っていたような気がする。
 『エヴァンゲリオン』のTV版から『シン・エヴァンゲリオン』までの四半世紀以上の時間を考えると、主要キャストがずっと同じ声優で演じられてきたことは、すごく幸運だったと思う。三石琴乃さんじゃない葛城ミサトが「エバー」って言ってもねえ。ちなみに、あの『エバー』のイントネーションに関しては、三石さんも途中で気になって、ゲーム用の音声をあてるときに他のキャラクターと同じように「エヴァ」に直してみたところ、担当者に「ミサトさんは『エバー』じゃないとダメです!」とNGになったそうだ。
 
 今夜も『ライブアライブ』をプレイしてしまい、予定していた睡眠不足解消はならず。