じっぽ当直日誌・スーパーマイルド@はてな

『さるさる日記』から続く、中年内科医の日常日記。これまでの分はこちら。http://touchoku.jugem.jp

ウェストミンスター宮殿でのエリザベス女王の孫たちをみて、『サマーウォーズ』みたいだな、と、ふと思った。

 平日休み。
 まだ新型コロナウイルスの感染リスクはある、というか、外来などでの感触として、最近は感染者、あるいは濃厚接触者のなかに、気にせずに外出している人がいるようなのであまり外には出ずに過ごした。
 エリザベス2世の棺がウェストミンスター宮殿に還ってきたとき、人々から拍手が起こった、というニュースをみて、なんだか涙が出てきた。エリザベス女王と僕との関連なんて、競馬のエリザベス女王杯くらいしかないのに(あのレースは次から「チャールズ王杯」になるのだろうか、牝馬限定レースだけど)。思えば、僕が子どもの頃から、ずっと偉い人でありつづけた、最後の人だった。芸能人やスポーツ選手であれば珍しくはないのかもしれないが、政治家や権力者で、拍手で棺が迎えられるというのは稀有なことだろう。政治というのは、どんなにうまくやっても、不幸になる人が出てくるものではあるし、英国も女王の在任中に「世界の大英帝国」の座から降り、深刻な「英国病」、先鋭的な「新自由主義」と、さまざまな時期を過ごしてきた。女王自身も、故ダイアナ妃に関することで、批判を受けてもきたのだ。
 ただ、エリザベス2世については、個々の業績云々というより、これだけの長い間、西欧世界の象徴であり続け、そして、象徴であることを踏み越えようとしなかったことだけでも、偉大な存在ではある。ひとりの人間の死で、これだけ多くの人が「ひとつの時代、世紀の終わり」を感じているのだ。しっくりいっていなかったとされる女王の孫たちが偉大な祖母の死に際して、助け合いながら、ウェストミンスター宮殿に集まった民衆に姿を見せているのを観て、『サマーウォーズ』みたいだな、と、ふと思った。

 9月に入ってから、何をやってもうまくいかず、ひたすら鬱々としている。気分転換にブラッド・ピット主演の『ブレット・トレイン』を観た。まさに「気分転換にもってこいの映画」だった。


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