パンサラッサの大逃げを、サイレンススズカを思い出しながら見ていた。

　10月最後の日曜日。昨日遅くまで『ドラゴンクエスト10オフライン』をやっていたためか、起きてもなんとなくスッキリしない。

　秋の天皇賞、府中の2000ｍならイクイノックス本命で、けっこう自信はあったのだが、最近馬券がさっぱり当たらず、馬連、枠連でイクイノックスから手広く流すと当たってマイナス（トリガミ）になりそうな感じで、直前までさんざん悩んだ末に、イクイノックスの複勝だけをいつものG1で賭ける金額の半分だけ買った。イクイノックス、ダノンベルーガ、マリアセレーナの単勝を買う、というのも考えたのだが、スプリンターズSでは3頭の単勝勝負で1頭も3着以内にすら入らなかったのを思い出す。イクイノックスも、結局春のクラシックは2着続きだったものなあ。
　レースはパンサラッサの大逃げ。前半1000ｍ57秒4というのは、あのサイレンススズカの秋の天皇賞の前半1000ｍと同タイムだったという。あのレースを忘れられないオールド競馬民としては、秋の天皇賞での大逃げというだけで、感慨深いものがある。もし、あのレースでサイレンススズカが怪我をせず、最後まで走り切れていたら……絶対に答えは出ないのだが、だからこそ、終わりのない問い、なのだ。

　まあ、パンサラッサ、見せ場は作った……あれ？後続との差がなかなか縮まらないんだけど……
　正直、買っていたのがイクイノックスの単勝馬券だったら（あるいは、馬単、3連単の頭だったら）、ものすごいスペクタクルだったと思う。今日は複勝馬券だったので、最後の直線では「これだったら3着以内は大丈夫だろう」と安心して見ていられた。

　イクイノックスがものすごい脚でパンサラッサを最後に差し切って1着、パンサラッサは2着に粘りこみ、3着にもかなりの末脚だったダノンベルーガ。ジャックドールはそれなりに差を詰めるも4着。パンサラッサと前で競り合えば共倒れになるし、後ろから最後の脚で勝負できるほど切れるタイプの馬でもないので、乗り難しそうだな、と危惧して通りになってしまった。札幌記念で控えてパンサラッサを差し切って勝って、脚質の幅が広がった、と言われていたけれど、それがかえって中途半端な乗り方につながってしまったようにも思う。

　先週のアスクビクターモアにしても、前哨戦での勝ち負けは、本番と直結するとはかぎらない。いや、競馬がどんどん進化するにつれて、直結しなくなってきている。トライアルも、本番もすごいパフォーマンスができるほど、いまの競馬は甘くはないし、実力差もないのだろう。

　パンサラッサの2着をみて、無事にゴールできてよかった、そして、馬連買わなくてよかった、と安堵した。
　イクイノックスから手広く流した馬券で、このままでは当たってもプラスにならないかもしれないからと最後にイクイノックスからカラテとパンサラッサへの馬連を外すかどうか迷った挙句、イクイノックスの複勝にしていたので。
　最後の最後に買うのをやめた馬が来るほど、競馬をやっていて悔しいことはない。しかも、そういうことって、けっこうよくあるのだ。
　外れるときは、網の目をくぐるようにして、買っていない組み合わせが来る。
　このレースも、パンサラッサの大逃げは記憶に残るだろうし、パンサラッサさえ来なければ、と馬券的に悔しがっている人も多いのではなかろうか。終わってみれば、馬連でこんなに配当つくのか、ではあった。

　このパンサラッサが2着だったら、サイレンススズカなら、直線でも最後まで押し切っていたのではないかなあ、あの年の勝ち馬はオフサイドトラップ、2着がステイゴールドで、イクイノックスはオフサイドトラップよりも強いのではないかと思うし……
　もちろん、その答えは風のなか、だ。

　今日のイクイノックスは、パドックから本馬場入場、そして、レースでの位置取りに直線でのゴーサインのタイミングと、まさに完璧だった。たまに、こういう「思ったとおり！」って言いたくなるレースがあるから、競馬はなかなかやめられない。複勝もパンサラッサのおかげで130円ついたし。複勝ぶち込みはこの10円の差がけっこう大きい。

　夜、オリックスが第7戦で日本一を決めた。宮内オーナーは「持っている人」だなあ、と思う。
　山本由伸の怪我、ヤクルトの2連勝で、今年はヤクルトが勝ったな、という状況からの大逆転。結果からみれば、2連勝で、ヤクルトは少しだけ安心してしまったのかもしれない。ああ、2016年のカープが日本ハムに負けたシリーズを思い出すなあ。ヤクルトのマクガフは、あの年のジャクソンみたいだった。マツダスタジアムのチケットがとれなくて、第4戦、九州から札幌ドームまで応援に行ったら、カープが逆転され、寿司パフォーマンスまで見せられて、怒り心頭で途中退席したのを思い出す。あれはひどい夜だった。
　あの年、勝ちたかったなあ。

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