じっぽ当直日誌・スーパーマイルド@はてな

『さるさる日記』から続く、中年内科医の日常日記。これまでの分はこちら。http://touchoku.jugem.jp

松本零士さんの訃報と『銀河鉄道999』の思い出


 漫画家の松本零士さん逝去。
 『銀河鉄道999』の漫画を読んで、アニメを観て育った世代としては寂しい限り。パンツにキノコが生えてくる男の一人暮らしイメージも、松本さんが作ったものだった。
 正直、晩年は、『宇宙戦艦ヤマト』の権利をめぐっての裁判など、あまり好感を抱けないところもあったのだが、それでも「限りある命の生身の身体か、永遠に生きられる機械の身体か」と幼い頃に考えさせられたことは、僕にとっては大きかったのではないかと思う。
 ただ、子供心に「限りある命だからこそ人間は善く生きようとする」というのは、ちょっと押し付けがましいと感じてもいた。個人的には、死なないからこそできる心の余裕とかもあるんじゃないかと思ったし、いかにも機械っぽいデザインの機械伯爵とか、実用化されるのなら、もうちょっと人間らしいビジュアルにしそうなものだ。僕が死ぬのが怖い子供だったから、そんなことを考えたのかもしれないが。生身の人間だって、ひどいことをたくさんするんだから、死なないほうが良くないか?残念ながら、40年近く経っても、平均寿命は結構伸びたが人間はまだ死ぬことになっている、それでも、『銀河鉄道999』や鉄郎、メーテルは遺る。あの漫画、鉄郎が食べているラーメンがいつも美味しそうだった。「ビフテキ」も。そして、「ネジ」は本当に眠れなくなるくらい怖かった。あれから、ネジを見るたびに、「お前、まさか生きてないよな」と心の中で語りかけてしまう。
 あと、『ハエ男の恐怖』を観て以来、虫とかをみるたびに、「まさか、僕の知り合いじゃないよね……」と不安になってしまう。難儀なものだ。
 『銀河鉄道999』といえば、映画版でゴダイゴが歌っていたテーマ曲を、裕木奈江さんがオールナイトニッポンで「思い出の曲」としてかけていたなあ。ああ、この人は同世代だなあ、と嬉しくなったのを覚えている。

 藤子不二雄A先生に、水木一郎さん、そして松本零士さんと、僕が子どもの頃に影響を受けてきた人たちが、次々と鬼籍に入っていくのは寂しい。
 猪木さんも旅立ってしまったし、明日は武藤敬司引退試合か……


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