じっぽ当直日誌・スーパーマイルド@はてな

『さるさる日記』から続く、中年内科医の日常日記。これまでの分はこちら。http://touchoku.jugem.jp

田中敦子さんは、ずっと、草薙少佐だし、フランメ先生だ。


 8月20日。なんとか8月も3分の2。今月は暑いし出費も多いし、なかなか厳しい。
 おまけに、仕事は来月からさらに大変になることがほぼ確定しているのに、ちゃんと休みがあっていいねえ、みたいなことを言われるとつらい。
 そういう言葉に、カッとして反撃してはいけない、自分を抑え、あとで思い返してキリキリしているのも情けない。
 生きるのは面倒だ。幸いなのは、ずっと面倒なので、もう慣れてしまっていることだ。
 
 そんなことをぼんやり考えていたら、声優・田中敦子さんの訃報が目に入ってきた。
 享年61歳か……人生が終わるには、あまりにも早すぎる、という年齢ではないが、今の世の中では早逝だし、まだバリバリの現役でいろんなアニメで名前を見かけ、「やっぱりこの役、この声は田中敦子さんだよなあ」と納得することが多かったのに。草薙素子少佐の、凛としていて、知性と、人を寄せ付けないような孤高を感じさせる声。『葬送のフリーレン』のフランメ先生もそうだった。
 
 2024年は有名な声優さんの訃報が続いているのだが、一時代を築き、多くの仕事を成し遂げて亡くなられた方には「おつかれさまでした」「ありがとうございました」なのだが、田中さんには、なんとなくそんな気分になれないところがある。草薙少佐と重ね過ぎてしまうのかもしれないけれど、この世界と仮想世界の「あわい」みたいな場所に溶け込んでしまって、これからも、この世界をずっと見届けていく人、そんな感じがする。

 正直、僕も50代前半なので、60歳を少し過ぎたくらいの人の訃報には、「僕が若い頃、ちょっと年上で活躍していて、お兄さん、お姉さん感覚だった人が、去ってしまう」そんな悲しみがある。そして、自分の番が近づいてきていることを意識せずにはいられない。

 でも、声優さんは、作品が残る。田中敦子さんは、ずっと、草薙少佐だし、フランメ先生だ。羨ましい仕事だな、とも思う。

 昨夜は夜更かししてだいぶバテているので、早めに薬を飲んで寝た。


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