じっぽ当直日誌・スーパーマイルド@はてな

『さるさる日記』から続く、中年内科医の日常日記。これまでの分はこちら。http://touchoku.jugem.jp

テレビ討論を観たとき、ヒラリーさん、ちょっと「勝ちすぎ」「余裕ありすぎ」じゃないか、と感じていたのだ。

 お昼前にアメリカ大統領選挙の開票速報を確認。
 結局、ヒラリーさんが勝つんだろうな、と予想していたのだが、トランプさんが大健闘。
 いや、最初に票が開いているのは共和党支持者の割合が多い州みたいだし、カリフォルニアとか選挙人が50人以上いて、ヒラリーさんが取ることが確実視されているし……
 ところが、経過をチェックしていても、ずっとトランプ候補がリードを保ったまま。
 これは、まさか、あのトランプ候補が大統領に?メール問題があっても、トランプさんの数々の問題発言に比べれば、まだヒラリーさんのほうがマシなのでは……
 フロリダ州をトランプ候補が制し、これで大勢は決した印象。
 残り8州、もう少しでトランプ候補が当選、という状況から、なかなか開票が進まなくなって、ちょっと間延びしてしまったが、AP通信、FOXニュースがトランプ当選を報じた。
 いや、AP通信はともかく、FOXはアテにならないな、と思って続報を待っていたのだが、CNNからも「トランプ当選」が出て、これはもう決まり。
 トランプ候補の演説は、これまでの「敵をつくって徹底的に攻撃する」ものから、「みんなでひとつにまとまっていこう!」という至極真っ当なものになっていて、「大統領モード」に入ったみたい。
 とはいえ、あれだけのことを言っておいて、当選したら「これまでとあまり変わらない政策」になれば、支持者は失望するだろうなあ。当選演説も「メキシコとの国境に壁をつくるぞ!」みたいなのをみんな期待していたのではないか。
 後で、NHKラジオを聴いていたら、政治評論家が「トランプ候補の政策は、もともとネタみたいなもので期待値が低いから、実現しなくてもみんなガッカリしないはず」と言っていた。
 本当に、そうなのだろうか。
 ヒラリーさんは、ここまで、人生でさまざまな挫折を味わいながらも、戦い続けて、ついに女性初のアメリカ大統領目前にたどり着いた。
 だが、最後の最後で、いちばん大きな目標には届かず。
 バーミリオンの戦いでのラインハルト・フォン・ローエングラムをなんとなく思い出す。
 ラインハルトは死ななかったし、トランプさんがヤン・ウェンリーというのは、ヤン信者である僕にとっては想像しがたいが。
 個人的には、テレビ討論でのヒラリーさんとトランプさんをみたとき、これはヒラリーさん、ちょっと「勝ちすぎ」「余裕ありすぎ」じゃないか、と感じていた。
 政治家としての経験やインテリジェンスでは、ヒラリーさんが圧倒的に上回っている。
 ヒラリーさんはそれを自覚していて、トランプさんを軽くあしらい、終始バカにしていたように見えたのだ。
 内容的にはヒラリーさんの圧勝でも、テレビを観た人たちは、「賢い政治家に小馬鹿にされるトランプさん」に同情し、共感したのではないか。
 トランプさんのほうが「こちら側の人」だと認識したのではないか。
 あらためて考えてみれば、政治は「こちら側の人」よりも、「すべてを見通す賢人」がやったほうが、結果的にはうまくいきそうな気がするけど、人は、バカにされたくない、自分がバカなことを認めたくない生き物なのだ。
 しかし、2016年は、歴史が動く大番狂わせをイギリスのEU離脱に続いて、2回も目の当たりにできたわけで、なんかすごい時代を生きているなあ、と思う。
 戦争になってしまえば、そんな感慨など吹っ飛ぶだろうけど。

 ただ、トランプさんは、実際に政治をやるためには基盤がないだけに既成のシステムに頼らなければならないだろうから、そんなに突飛なことはできないはずだ。
 ……とは思うんだけどなあ。むしろ、「トランプでも何も変わらない」場合の失望感のほうが怖い。

 25時に就寝。


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