平成最後の日。
とはいえ、今日と明後日は仕事だし、塾の送り迎えはあるしで、あまり連休を満喫する、というわけにはいかないのだが。
東京まで往復し、深夜に戻ってきた疲れも抜けきらないまま、微妙な量の仕事をこなす。それでも、地域の基幹病院で働いていて、休日当直に戦々恐々としていたり、休み前に重症の患者さんの担当になって休みが消失したり、ということがないだけでも、精神的にだいぶラクにはなった。その仕事を誰かが僕の代わりにしている、と思うと、申し訳なくもあるけれど。
平成最後の出勤日を終えて、スシローでネット注文した寿司を受け取って帰ったのだが、待合所は人で一杯なのに、席がけっこう空いている。店内の掲示をみたら、「従業員不足のため、席の一部をクローズして営業しています」とのことだった。客はこんなにいるのに、店員がいないのか……この連休に働きたい人が少ない、というのもあるのだろうけれど、飲食店の人手不足の深刻さをあらためて思い知らされた平成最後の日だった。逆に、こんなアナウンスがされている店舗であれば、よほどの条件を提示されないと、働こうとは思わないよなあ。
回転寿司という業態は、僕が子どもの頃からそれなりの数はあったのだけれども、当時はまだ値段も今より高めだったし、それなりにごちそうだったような記憶がある。当時の僕は玉子といなりとかっぱ巻きしか食べなかったのだが。
それが、スシロー、くら寿司をはじめとする百円均一の回転寿司チェーンの登場で、一気に外食産業の雄として君臨するようになった。
安い、というのは素晴らしいことではあるのだが、安さ比べのおかげで、そこで働いている人たちの待遇に影響が出ているのもかかわらず、同業他社との競争のため、値上げもできず、という状況には、行き詰まりを感じずにはいられない。いまの日本にも、仕事はあるのだ。ただ、それなら働きたい、という条件ではないだけで。
「ビジネス」としては劇的に大きくなったし、安さを享受するお客さんも増えた。だが、そこで働きたい人がいなくなってしまった。
店のなかは、ずっとざわついていて、「まだですか!」とお客さんがレジで店員に詰め寄っていた。
回転寿司というのは、まさに「平成的」な産業だよなあ、と思いながら店を出た。
平成最後の時間は、各局の特番をみるつもりだったのだが、なんだか嫌になってしまって、『ゲームセンターCX』の『パックランド』の回を観ていたのだが、眠くなってしまって困った。昨日も深夜に帰ってきて、あまり寝ていなかったのだ。
とはいえ、平成から令和に変わる瞬間までは起きていたかった。
池上彰さんが「平成の総括」を時間ぴったりに語り終えたのを聞いて、元号が替わったことよりも、「池上さんの時間合わせの技術すごい!」と感心してしまった。途中、これ長すぎるんじゃないの?とハラハラしていたので。
令和元年。僕にとっては3つめの元号だ。これが最後の元号か、もうひとついけるか……
何年かすれば、「平成19年って、西暦何年だったっけ……ああもう!みんな西暦にすればいいのに!」って、たぶん思う。
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